‐hope against hope‐tour 
10/27(土)@TAKAMATSU OLIVE HALL

 


これほどまでに何かに激しくインスパイアされたステージを私は見たことがあっただろうか?ある意味避けてきたナーバスな感情と向き合う機会を与えてくれたのが今回のライブだった。 シニカルを吐き違えたリアリズムを求めたり、「頑張れよ」とか、「頑張ろうぜ」などという無責任な歌詞が渦巻くメインストリームが台頭する中で、ここまで自分をさらけ出す事に彼らは抵抗がなかったのだろうか?孤高なリフと哀愁漂うメランコリックなメロディに突き刺さる、言葉同士で贅肉を殺ぎ落としたかのような文学的香りの高いリリック。人の弱さや未来への恐れ、先が見えないような状況と背中合わせの中にいて、それをオブラートに包む事無く吐き出された言葉の数々は、まるで戦いを決意したある日の夜に、現実と向き合う武人のようだった。 BRAHMANとは、違う世界の中にいるバンドだと思っていた。闇に包まれた荒野で、自分達の姿を模索しているからなのだと思っていた。だが、彼らを目の前にして思うのだ。私達と同じフィールドに立ち、同じ地平線から昇る太陽を見つめているからこそ、ここまでリアルに自分達の生き様を、音楽に映し出すことでができるのではないかと。弱さや恐れを認めてこそ、本当の「A FORLORN HOPE」に出会うのかもしれない。裸になったステージからは、エモーショナルな感情が怒涛のように押し寄せてくる。 多くを語らず「ありがとう」とだけ残し、ステージを後にしたトシロウ。決死の覚悟で何かにぶつかったことはあるか?己自身と闘ったことはかるか?と、風圧で耳をかすめていく音に現実を突きつけられて、ズキズキと胸が痛むのだ。