
|
 |
四国初上陸となった今回のLIVE
TOUR、平井堅がどんなステージを見せてくれるのか…私は楽しみでしょうがなかった。次の日の遠足が待ち遠しくて眠れない、小さい頃に抱いたあの純粋な気持ちにも似た感覚。そして沸き立つ会場の空気もまた、そんな雰囲気を醸し出していた。暗闇のステージにライトが点灯し、気付くとシルクハットに白いスーツをまとった平井堅が現れた。彼の白いスーツは七色のライトを浴び、幾重にもその表情を変えてゆく。ペーパーシャワーがパンッと弾け、場内を一気に包み込むようなグルーヴ感と大歓声。私をとりまく温度がみるみるうちに上がってゆくのを肌で感じながら、「She is!」でスタートしたLIVEには本当に度肝を抜かれた。圧倒的な歌唱力、音域の広さ、豊かな声の表情に鳥肌が立つ。予想をはるかに超えた素晴らしいステージは、私にとって驚きの連続だった。 |
|
 |
AL「gaining through losing」を中心に新旧おりまぜて構成された今回のSET LIST。そこにはエンターティナーとしての平井堅の魅力がギッシリと詰まっていた。4人のバックコーラスと、自身の声が作り出す絶妙なハーモニーが美しかった「L'Amant」。重低音に身をゆだね、心地よいグルーヴ感が気持ちの良い「why」。大人の微妙な切なさ、儚さが、オルガン・ピアノの音色に乗って柔らかく響いた「Miracles」。息づかいや、ギターの弦を弾く繊細な音までもが確実に伝わってきた「whenever…」。加えてその間のMCで見せる茶目っ気たっぷりな素顔と言えば、歌手にしておくにはもったいないほど。今思い出してもリアルに爆笑できる。ピアノだけでしっとりと歌い上げた「横顔」。以前からのファンにとっては嬉しいプレゼントだった「片方ずつのイヤフォン」。誰もが心待ちにしていた「楽園」「KISS OF LIFE」。最後には「even if」を弾き語りで…。緩急付けられた絶妙のステージがいかに感動的であったかは、オーディエンスの熱いレスポンスが如実に物語っていた。アーティストとして、表現者として本能で人を楽しませることのできる人…それを強く実感した一時だった。平井堅という名のエンターティナー、彼の可能性は果てしなく、限りない。 |
|
 |
今回のツアーで彼が伝えたかったことはまさにこの一言につきるだろう。直訳をすれば「失うものから得たもの」。ここには色んな意味合いが含まれていると思うのだが、人間が生きていく上で、得るものがあればきっとそれ以上に失っていくものも多いはず。失ったものがあるからこそ、成長し、強くなった自分が今存在している。誰しもこういう経験をして生きているのではないだろうか?“The Changing Same”から一年、走りつづける事で平井堅自身が得たもの、そして見落としてしまったもの、それをもう一度見つめなおすことで生まれた温かい歌。それが「gaining
through losing」。アンコールで大合唱となったこの曲は、この日会場にいた全ての人の心を優しく包んだ。 |
|
 |
LIVE前に平井堅はこう語っていた。「ステージでは心を込めて歌うのみです」と。短いこの言葉に、私は彼の音楽に対する純粋な気持ちを見たような気がした。心を込めて歌うからこそ、そこには感動が生まれるのだと思うし、そういった純粋な気持ちがあるからこそ、心を動かす歌が生まれる。当たり前のことかもしれないが、そんな当たり前のことが自然にできるアーティストが何人いるだろう?
平井堅は、歌の上手さや表現方法を越えたところで、もっと人間的な温かさを伝えてくれる、数少ないアーティストの一人だと思うのだ。久々に胸が熱くなり、涙腺が緩み、心から楽しめたLIVE。そう、私も彼の歌に心を動かされた一人なのである。 |