大阪ストリート発、未来行き。夢を乗せて、全国へ…。


ストリートからスタートし、路上ライブではかるく500人は集めてしまうという伝説のバンド「コブクロ」が高知にやってきた。2/7、約430人を集めたキャラバンサライでのライブ…彼らの音楽はまるで一本のロウソクだ。決して激しくはないが、ゆっくりと温かく心を照らし、その炎はあっという間に会場全員の心を照らす。そしてその炎は終演後もなお消えることはなかった…。3/22には「YELL〜エール〜/Bell」で、いよいよメジャーデビューを控えた彼らの中に潜む、そのパワーに迫る!


「結成する時はお互い腹のさぐりあい。付き合う前のカップルみたいに…」

「黒田の声がすごく印象的で、僕とは正反対な感じがして、で、僕がオリジナルを作って彼が歌うとどうなるんやろう?って思ったのがきっかけですかね。」というのはコブクロの作詞・作曲をほぼ手掛けている小渕君。某有名会社の有望株営業マンだった彼は日頃のストレス解消の為、毎週土曜の夜だけ地元・境東の商店街でストリートライブをやっていた。当時、商店街にも数々のストリートミュージシャンはいたが、最後まで残るのはいつも決まって黒田君と小渕君だけ。お互いいつの日からか意識するようになり、コンビを組むまでにそう時間はかからなかった。「ライバルではないし、一緒に組みたいんやけど向こうはどうかなって、お互
いデートに誘うような感覚?ハズしたらヤバいなみたいな(笑)だからそれまではずっと腹のさぐり合いでした(黒田)」。「そやな〜、付き合う時って完璧な理由がいるじゃないですか。もし、振られたらどうしようっていう不安もありましたし…でもある日ね、俺の家めっちゃ近いのに、黒田が送ってくって言うんですよ。まさにその状況は拉致された感覚。(笑)どこつれてくねん!みたいな(小渕)」。で、その夜にコンビ結成。溢れ出すようにお互いの思いを語り、その一ヵ月後に小渕君は会社を退職、コブクロの快進撃が始まる。小渕君の軽快な喋りに、黒田君の間髪入れないつっこみ…なんという絶妙なトーク。下手な漫才を見ているよりもよっぱど楽しい。インタビュー開始数分で、すでにコブクロワールドにどっぷりと浸かっていた。

「ストリートのプロになろう!それがまず目標だった」
ストリートの魅力はとにかくどこでも簡単に、しかもより多くの人々に自分達の音楽を聴いてもらえる事だと
口を揃えて言う二人。「ライブハウスで100人集めるのって難しいですよね、でもストリートだと毎日何百人何千人っていう人達が僕らの音楽を耳にしてくれる。すごく効率がいいんです。喉がヤバくならない限り毎日でもできる(小渕)」。「大阪って野次馬根性がすごいんです。だからとりあえず人がいると集まってきて、50人が100人になるのなんてあっという間(黒田)」。そんな中で一番苦労したのが後から集まってきた50人にいかにCDを買ってもらうかだったとか。「皆恥ずかしがりやなんですよね。だからなかなか買ってくれなかったりするんですけど…(小渕)」。「一人がコレ下さいなんて言うと、私も、私も…ってあっという間に引っかけ橋の所に100人くらいの列ができるんですよ。あれは爽快、気持ち良かったですね。(黒田)」。彼らの他にも約20組のバンドがひしめいていたという戎橋。日曜日にはやる場所もないくらいだったとか。「だから俺らはココで一番になったろって、ストリートのプロになるのが目標でした。最終的には僕らの歌を聴いてくれる人達が150人くらいは集まってきてた(黒田)」

「2年間で何もなかったら音楽を辞めよう。同じ失敗は2度繰り返さない」
いつもライブをしたあと3時間くらの反省会が待っていたという彼ら。「組んだ時に2年間やって何もなかったら音楽辞めようぐらいの気持ちがあったから…もう必死ですよ(小渕)」。「僕は専門学校にいた頃からダラダラと音楽やってたから危機感もあって…でも小渕に出会って、きっとこれは神様が人生に3回だけくれるチャンスの一つやって確信しました(笑)ここで勝負かけんとヤバイなって」。一日でも一時間でも早く一人前になりたかったという二人の思いはさらに加速。日増しにストリートに集まる人数も増える事に…。

「僕らがライブやるっていったら路上で10000人が集まる…そうなったら皆振り向かずにはおれんやろ」
「ホントのところ、2年間って決めたもののどうやっていけばいいのか分からなかったんです。いろんなテレビ局に電話したり、オーディションなんかにも応募したけどやっぱりメディアに頼っちゃいけないなって…もちろん門前払いでしたけど(笑)(小渕)」。だったら自分達のストリートをやろう、そう決意することで彼らのスタイルが確立されていく。大道芸人の研究に始まり、MCに力を入れ始めたのもこの頃だった。

「デビューシングルは自分達に対するエールでもある」
歌っていながら自分に言い聞かせているというこの曲、彼らの歌は歌詞の中で絶対に答えには触れていない。
なぜならそれは、聞き手が一回飲み込んで、消化し、自分から出てきたものが本当の答えだからだ。自分らが夢を持っていないと夢は語れない…とでもいうようなコブクロのパワーと、ハートがいっぱい詰まった一曲。まさにデビューシングルに相応しい。

「ライブバンドとしての自信」
「今まではライブで聴いてもらって、CD買ってくれて、またライブにきてくれるという法則みたいなのがあって、でもデビューしちゃうと先にCDから入ってもらうわけじゃないですか。そういう部分で僕らの本当の気持ちとか、歌ってる表情とかが伝わらないかもしれないから不安。耳とか頭で聴くよりも、心で聴く曲を僕らは作ってるつもりなので、ライブに来て欲しいですね(小渕)」。「そやな。僕らライブバンドなんで、絶対ライブを見に来て欲しいです(黒田)」。ライブでは絶対損はさせない…そう語っているかのような自信に満ちあふれた彼らの目を見ていると、奥に潜んだもっと大きな可能性が見え隠れする。お客さんと最も近い位置で、キャリアを積んできたからこそできる心の通ったライブ。それを見ていると彼らの熱いハートをガッチリとキャッチできたような、自分の気持ちも伝わったような充実感でいっぱいだった。これからの彼らが楽しみでしょうかない。