3/6(水)香川県県民ホール


 
 昨年から続く全国ツアーも大詰めを迎えた3/6、ヤイコが四国にやってきた!まだ見ぬ彼女のステージに思いを馳せ、香川県県民ホールを埋め尽くした約2000人の観客たち。その期待の焦点は、実に明確だったに違いない。「ヤイコがどんな歌声を聴かせてくれるのか?!どんなパフォーマンスを見せてくれるのか?!」
 鳴り止まない手拍子が続く中、ギターを抱えてステージ中央から登場したヤイコ。トレードマークのストレートヘアーにTシャツとジーンズ。そしていつもと変わらず裸足での立ち回り。気取らないそのスタイルが、やはりヤイコには一番相応しい。
それにしてもヤイコの声は圧倒的な存在感を放っていた。とにかくよく通るし、よく伸びる。それは、ROCK色の強い『Girls Talk』や『贅沢な世界』での掻きむしるようなギターリフにも全くひけを取らないほどで、爆発的な演奏の中でも歌詞の1つ1つがよく聴き取れる。また『I'm here saying nothing』『Stay』『Over the distance』などのミディアムナンバーで見せた表現力の豊かさ。彼女の"声"は、万物を全て包み込むような大きな愛情に満ちている。例えて言うならば、無条件に注がれる母性のようなもの。大げさかもしれないが、この世にもし音楽の神様が存在するならば、間違いなく彼女の声には神が宿っているだろう。そのくらい強烈で、それでいて柔らかで、とても、とても、美しかった。
 
 「高松で、なんがでっきょん(?)これって大阪弁で言うたら、まいどー!みたいなもん?」MCでは讃岐弁を研究して、こんなおちゃめな一面も見せてくれたヤイコ。散歩をするのが大好きで、新しい土地へ行った際には必ず街の散策をするのだとか。右も左もうどん屋…という炭水化物天国・香川のパワー?を受けて、ヤイコ自身も存分に楽しめたようだった。そして思いがけないプレゼントとなった、アッパーな新曲『Ring my bell』の披露。ヤイコ自身をそのまま表現したようなポップ感溢れる『Look back again』、名曲『B' coz I Love You』、お馴染みの『My sweet Darlin』と、ヒット曲が続き、会場のボルテージはまさに絶頂!生で聴くヤイコ・ベスト盤的セットリストには、観客達も十二分に満足していた。本編最後となった『Life's like a lovesong』では、ヤイコ自身に共感し、共鳴した観客たちの掲げた手のひらが会場内でひらひらと揺れる。その光景は、今日のステージがいかに素晴らしかったかを告げる合言葉のようだった。
 
 あらゆるものの生命や息吹、生きているという瞬間を歌に表現しつづけるヤイコ。幾重にも表情を変え、ジャンルの枠に捕われる事無く生まれる音に、多くの人たちが心を熱くするのは、彼女の内面にある普遍的なもの=「人間が好き」という一言に尽きると思う。だからこそ、ヤイコの歌は人間臭いし、温かみを帯びていてより近くに感じるのだ。ダブルアンコールで歌った『maze』ように、彼女の旅はまだまだ終わらない。何故ならば、何が正しくて何が正しくないのか?何のために歌うのか?その答えはそのつど存在するかもしれないが、1つであり続けることがないからだ。心のビートが鳴り止まない限り、これからもヤイコは模索し続け、歌い続けるだろう。前を向いて、しっかりと地に足をつけて…。

TEXT by A.

 





矢井田瞳 Candleys TOUR 2001〜2002 SET LIST
M1 キャンドル
M2 Buzzstyle
M3 Everything Is In Our mind
M4 Girls Talk
M5 I'm here saying nothing
M6 Stay
M7 贅沢な世界
M8 Over the distance
M9 空の作り方
M10 ねえ
M11 HOW?
M12 Ring my bell
M13 もしもの唄
M14 Look back again
M15 Not still over
M16 B'coz I love you
M17 My sweet Darlin
M18 Life's like a lovesong

En1 I like
En2 手と涙

Den maze