MITSUHIRO OIKAWA
及川光博
ワンマンショーツアー0102
禁猟区〜サンクチュアリ〜
1.8(TUE)
@香川県県民ホール
"食わず嫌い" 言わずと知れた、その物の真髄を味あわずに嫌いと判断してしまう事だが、その物の存在・個性が強烈であると、人はそういう行動をとる傾向がある。
―及川光博―彼のステージを観て私の頭の中にその言葉がよぎった。
及川光博=ミッチーと言えばミュージシャン兼俳優。そんな浅い解釈だけで満足し、彼の奥深い芸術性・エンターテイメント性を理解しようとしない人間が少なからず存在することを、私は残念に思う。それ程今回のワンマンショーツアー「禁猟区〜サンクチュアリ〜」は素晴らしいライブだった。
観客の心を一瞬にしてつかんでしまうオープニングでの登場に始まり、普段メディアで見せる表情とはまた違った表情で歌いあげるバラードや、エネルギッシュに激しく感情をぶつけ歌うロックナンバー。
時にはユーモアたっぷりに、時には聴く者がハッとする程深い言葉で観客一人一人に話しかけるようなMC。彼の言葉に眠っていた細胞を呼び起される様な感覚を覚えたり、自分のかかえている現状を彼の言葉に重ね合わせ救われた者もいただろう。そして二人のダンサーを従え、研ぎ澄まされたステップで踊るダンス。彼のダンスはライブの華として魅せるというだけではなく、ダンスというカテゴリーを超えその曲の持つ哀愁や欲望、喜怒哀楽までをも表現する。以前、彼にインタビューした時に語ってくれた言葉を思い出した。「僕は俳優業と音楽活動を分けて考えたりしてないんだ。」この言葉を裏づける様に彼のダンスにもそれぞれの活動で吸収した世界が融合している。私は今回のこのステージを見て、彼には俳優という肩書きもミュージシャンという肩書きも必要はない。"アーティスト及川光博"なのだと強く実感した。
会場のテンションが一気に加速した頃、ふと客席に目をやると満面に溢れる笑顔で彼の世界にどっぷり浸っている観客達が見えた。実はこの日のライブに来た観客の約半数は、いわゆる"初心者ベイベー"と呼ばれる彼のライブ初体験の観客達。初めは戸惑い気味に遠慮がちに参加していた彼等も、気がつけば羞恥心を脱ぎ捨て皆と同じように踊り・叫んでいる。彼の思うツボにはまってしまった初心者ベイベー達を見て、私はその気持ちを理解すると共に満足感から思わずニヤリとしてしまう。−心から楽しむ−これこそが彼のライブの醍醐味である。自我を解放した彼等を見て、ここまで観客を引き込む彼の魅力に、私は感動せずにはいられなかった。
いかにライブが素晴らしかったか、あれこれ言葉で飾り立てるより、頬を高潮させ笑顔で会場を後にした観客達を見る方が、ある意味大きな証明になるのかもしれない。
そして次に及川光博の悦楽への扉を開くのは、これを読むあなたに違いない。
TEXT BY M.NAITO
PHOTO BY A.NAGATA
SET LIST |
1
CRAZY A GO GO !!
2 三日月姫
3 その術を僕は知らない
4 名器
5 SEXの意味・意味のないSEX
6 若さのカタルシス
7 君の中へ
8 solution
9 モラリティー
10 サンクチュアリ
11 天使のうた
12 求めすぎてる?僕。 |
ENC1
1 今夜、桃色クラブで
2 ミス・アバンチュール
3 S・D・R
ENC2
1 ココロノヤミ
ENC3 1 バラ色の人生 |
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