トロカデロ・デ・モンテカルロ バレエ団よりの使者 
ロバート・カーター  ヒロト・ナトリ 
INTERVIEW

今年も、いよいよ彼女たちの舞台が迫ってきました!ワールドツアーを経て、更にパワーアップした笑いと感動が渦巻くステージは、今まで以上に私たちを楽しませてくれることでしょう。公演に先がけて高松を訪れたのは、ご存知回転屋、ロバート・カーター氏とトロックス初の日本人ダンサーとなった名取裕人氏。6月から始まる日本ツアーに向けて、その意気込みを語ってもらった。言葉の端々から伝わってくる、そのプロ意識としなやかさは、まさにスペシャル級。彼らの舞台を見て、世界中が笑いに包まれる…そんな平和が一日も早く訪れることを願って。

―昨年と今年、同じ演目でも進化している部分は?
ロバート(以下R)「同じ作品でも、演じるダンサーが昨年とは違うので、それぞれの個性が出ることによって作品が違ったものになると思います。芸術監督というのがいるのですが、彼がいつも同じ都市で、同じ人が重ならないように気を使っているので、同じ作品でも見た目はかなり違ってくると思います」

―名取さんはまだカンパニーに参加されて日が浅いですが、今までに経験された事はどのような表現に生かされていますか?
名取(以下N)「そうですねー、今回僕は瀕死の白鳥をやらしていただいているんです…アメリカ公演でも演じていたのですが、この作品は何年も前からやられているうちの定番でもあるんです。これを経験することで、かなり自分の表現方法が変わってきたのが分かってきたというか、こっからが楽しくなってくるんだなというのが分かってきました。トロカデロというと世界的なカンパニーなので、昨年は振り自体がもう僕のテクニックの中でいっぱいいっぱいだったんです(笑) 今年はずいぶん世界各国を回っているうちに、振り自体にも慣れてきて、いろいろな面白みというか、アジとかここで狙えばいいのかという感覚がわかるようになってきましたね」

―四国の人たちっていうのは、舞台芸術慣れしていないというか、感情を表すのがヘタなんです。いろんな国の方をステージの上から見てこられているお二人ですが、感動する気持ちを伝えるにあたって、世界各国のファンはどんな風に感情を表現するのか?またどこの国の人が上手で、日本人はどんな特徴があるのか?教えて下さい。
N「僕が各国を回って思うことは、かなり日本のお客さんと外国のお客さんは違っていて、たとえば本当に日本のお客さんはみんなが笑うタイミングと同じタイミングで笑ったりすると思うのですが(笑うところをわかっていて笑ったりするトコロ)、アメリカの客さんは違っていて、何でここで笑ってんの??という感じ。あとは、やはりすごく大げさなリアクションで拍手をしてくれたり…立ち上がったりして後ろの人が見えなかったり…なんてことはザラで…(笑)」
R「やはり、その国によって表現の違いというものはあるんですけれども、外国のお客さんに比べて日本のお客さんの表現の感じはおとなしい気がします。ただそれが、他の国に比べて楽しみ方が少ないとかそういう意味ではなくて、やはりそれは表現の違いということで…。お客さんがエキサイトしていると、相乗効果で僕らもエキサイトしてきます(笑)」

―ツアーを巡る中、各ステージで目標を立てたりしますか?
N「個人差はあると思うんですが、彼(ロバート)と比べたら5年の差もあるようなベテランなので、そういう人たちと同じ舞台を共有できる立場だから、僕は常に目標は立てています。今日はこの辺で笑いを取ろうとか…笑いって自然と起きるもんじゃないんだなって、つくずく感じました。それを彼らはさりげなくやっちゃうんですけどね(笑)」
R「その日の気分によっても違ってくるのですが、いつも心がけていることは100%の力を出し切るということです。これは演技をする上での長いスタンスでのゴール・目標でもあるんですが、特にどの公演でというのではなくEVERY。一番の状態を見せたいと思います」

―長い公演では、やはり気分の乗らない日・メイクのノリが悪い日も出てくると思うのですが、それらのストレスをどのように解消していらっしゃるのですか?
N「去年はかなりその変化が大きくて、家に帰れないというだけでも大きな変化だたのですが、さすがに2年目になると結構前もってどこに何があるかを調べておいたりして…。ジムがどこにあるかとかね(公演が終わってもやっぱり体を動かしてしまうんですね…)」
R「まずは一日一日を大切に、一歩一歩ということを心がけていまして、メイクの調子が悪かったりダンスの感じがよくなかったと思うことはあるんですが、大体そういう時は他の人から見たらあまり違いはないということを理解していますので、その時の自分の気持ちの状態でそういう風に感じるんだなと、わりと割り切って望んでいます」

―今回の公演の見どころを教えて下さい。
R「オペラザ・デビューという新作をやることは決まっていて、これはUSツアー中にもやったのですが、これをやるのが瀕死の白鳥などで人気なポールというダンサーです。彼のソロで、パントマイムが中心のコミカルな作品に仕上がっています。デビュー前のバレリーナが、ソデで自分のデビューの瞬間を待っているというシーンを描いたものなんですが、ポーズを取るワンシーン一つづつが、ドガの絵画や彫刻作品などをモチーフにしているので、知っている方はより面白い作品になるのではないでしょうか?」

―四国のファンにメッセージをお願いします。
R「今まできてくれている方は同じバレエ団で、同じ作品もあるかと思うのですが、今までよりいいものを見せますので…」
N「一年前に見に来られた方が、もしまた見に来られる機会があって同じ演目があったとしても、世界ツアーを経てまた成長した僕らを見てほしいなと思います」