こういう仕事をしていると、いつも思うことがある。頭の中でアレコレ分析することに捕らわれすぎて、現実と向き合う前には既に、アーティストに対する偏見やイメージが完成してしまう。実に貧弱な話だ。大切な事はそうではない。何がいいのか?何が言いたいのか?と考えるよりも、初めて音に触れた時の自分の直感を信じたい…。そういう意味で、彼等の作る空間は理屈抜きにカッコよかった。
心に突き刺さるような電撃的メロディー、感電しそうなくらいにラウドかつヘヴィな曲の数々。まだ彼等の中に残る、荒っぽさをも卓越してしまったかのようなステージスキルは、音だけでなく、視覚からをも大脳をわし掴みにされ、体中に戦慄が走り、まるでオルガズムの海へダイブしたかのようだった。日常のうっぷんや憤りを音に代え、力強いリリックと共に吐き出してくれることは、なんという気持ちのよい事か。共鳴した音楽との出会いだけに起こる化学反応、それこそが、"共感できる"という喜びなのだろう。
アルバムのタイトル「FOREPLAY」には(性行為による)前戯という意味がある。愛が無ければその行為が成立しないように、ライブにも愛がなければ成功はない。それはもっと大きな意味での人間同士としての愛情。例えばメンバー間の絆だったり、「お前らのために俺は音楽をやっている」と言ったRIZEとRIZERの信頼感だったり…。それらを如実に感じ取れたステージには、"共感"を超えたところで、許しあえたものだけが得る"愛情"が存在していたのだと思う。又はこういう意味にも取れるだろうか、アルバムではFOREPLAYまで、本当のPLAYはライブ会場で…。
 ヒト,モノ,オンガクに対する『オープン・マインド、オープン・スタンス』な姿勢が、
ROCKという枠をいとも簡単に飛び越え、自由な発想で繰り出される雷図音。それがRIZEの力であり、根っこの部分なのだと思う。高揚したRIZER達の熱気が天井から水滴となって落ちてくる会場、そこには数え切れないほどのエネルギーと、上質のピースが溢れていて、無限のポテンシャルを放っていた。

PHOTO&TEXT by a.

●RIZE are・・・
Jesse(Vo.,G.)、金子統昭(Dr.)、U‐ZO(B.)、中尾宣弘(G.)

'97年にバンド結成後、下北沢を中心にライブ活動を行う。'00年8月にMAXI SG『カミナリ』でデビュー。11月には、AL『ROOKEY』をリリース、'01年2月にベースのTokieが脱退し、春の全国ツアーより、現在のオリジナルメンバーとなる。攻撃的で自由奔放な作品は、21世紀のロックンロール救世主と言えるだろう。12月に発売したAL『FOREPLAY』が好評発売中。