INTERVIEW

デビューAL「ロックンロール」を携えて、
全国桜前線ライブツアー ―青春28キップの旅―
in TAKAMATSU


南は九州から北は北海道まで、桜前線に乗って進むストリートミュージシャン・ワカマツサトシの全国行脚!手にあるのはギターと18キップとCDだけという過酷な条件の中で、九州を制覇し、四国上陸。内容の濃い旅の様子と、AL「ロックンロール」について、リアルな生の声をお伝えします!

 

 

トレードマークの黒いハットをかぶり、パンクロッカー風の出で立ちからは、ストリートミュージシャンの匂いは感じさせない。それもそのはず、彼はニルバーナに代表されるアメリカンインディーズパンクを好み、実はバンドを組みたかったのだと語り始める。
「やっぱ、ハードコアとかパンクとかやりたかったですよ。でも思想的には影響されてても、やっぱり日本人だから根っこの部分には歌謡曲の血が流れているんですよね…。だから曲を作ると今みたいなメロディが出てくるんです。僕の声質的にもバンドには向いていなかったし…」
やりたいことがやれないという気持ちは、大きなコンプレックスとなり、殻に閉じこもってしまった時期もあったようだが、ソロを選んだということは彼にとって自分の長所を生かすいい選択だったに違いない。そんなワカマツサトシにある転機が訪れる。
「それまでは歌の上手なお兄さんっていうくらいのイメージしかなかったと思うんですが…大失恋してからがデカイですね。今の音楽性とか歌詞の世界観、アルバムの曲もそうなんですけど、そこから生まれたものが非常に大きいです。男の女々しさとか、ダメ感、それをさらけ出したら楽になりました(笑)」 
だからだろうか、彼の作る詞世界は直接心に飛び込んできて、眠っていた懐かしいあの感覚を呼び覚ます。そう、彼の言葉が過去の恋愛とリンクしてくるのだ。
「賛否両論なんですけどね(笑)。精神的に落ち込んでる時や泣きたい時に聴くと、このアルバムはグッときます。自分でも聴きますもんね(笑)」 テレビやラジオから流れるヒット曲は、ひたすら『頑張れ』一点張りで、ちょっと頑張る事に疲れてしまった時、ぜひこのアルバムを手に取って頂きたい。何故なら「勝たなくてもいいから、負けないように…」というワカマツサトシの心の中にある光が救ってくれるからだ。
「やっぱり頑張りたくても頑張れない人もいるし、何で頑張んなきゃいけないんだろーって、疑問を持ちながら前に進むことほど辛いものはないし、立ち止まるとダメなんじゃないのか?みたいな罪悪感ってあるじゃないですか。だから大丈夫だよっていう歌を僕は歌いたかった。僕自身が救って欲しかったんですよね。きっと」 
そんな彼がアルバムを片手に全国へ飛び出した。桜前線と共に北上して行く宿無し・アポ無しの旅は一見無謀のようにも見受けられるが、そこで得る物は言葉では言い表しがたいものだろう。
「最初は絶対嫌だったんですよ!某テレビ番組みたいだったし。淋しがりやだから一人ぼっちは辛いし…孤独のもう1個向こう側の孤独まで体験して、落ちるとこまで落ちたんじゃないかなって(笑)でもいざやってみたら本当に人と出会う旅だなって。毎日いろんなドラマがあって、そこからまた新しい事を発見できて…昔はアンチ前向きみたいな部分があったんですけど、少しずつではありますがポジティブになってきている感じがして、価値観が変わってきてますね。」 
公園での野宿、ライブハウスで寝泊り、ヒッチハイク…と、生きる為の旅の裏側はかなりキツそうだが、彼のイキイキした顔を見ていると、心から応援せずにはいられない。電車の時間を気にしながら「出会って別れては淋しいから、サヨナラじゃなくて行ってきますにします」
…ちょっと格言めいた言葉を残し、彼は高松を後にした。ワカマツサトシはまだまだ進行形。これを書いている頃も、どこかで誰かと出会い、そして別れを繰り返している事だろう。何より健康で、最終地点に到達することを祈るばかりだが、欲を言えば北海道に着く頃、全国を旅した思いをおりまぜた『桜の唄』が完成していればなと切に願う。なぜならそれがこの旅の答えになるはずだから…。


                               TEXT by a.

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