走り出したら止まらない、芝居、タップ、ダンスに太鼓やハンドベルなどの楽器演奏と、次から次へと観る者を飽きさせない展開、笑い、涙、人生の喜怒哀楽の全てを表現する見事なエンターテインメント・グループ、「THE CONVOY SHOW」!!

 9月、東京の日生劇場で約1ヶ月に渡り上演された今作『雲ゆくえ』を見てきた。もちろん会場は連日の超満員。主人公の名前は「源」。しかし「源」は一度も舞台には現れない。なのにそこには「源」の存在がくっきりと浮き出ている不思議な感覚。今回はメンバーがバンドを組んで懐かしいビートルズ・ナンバーに新たに挑戦。その名も「中央線高架下ヒーローズバンド」。阿佐ヶ谷のBAR「我楽多」に集まる夢追い若者たち6人。夢を語り合い、ぶつかり合い、刺激し合った彼らは、20年後の阿佐ヶ谷七夕祭の日に再びそこに集まっていた。七夕祭りの仮装大会、そして、「源」の誕生日を祝うために「源」の好きだったビートルズ・ナンバーを携えて・・・。

 メンバーの個性の強さとチームワークのよさも、この、ザ・コンボイ・ショウの大きな魅力の一つ。作・構成・演出の今村ねずみの、お客さんの心を大切にし、お客さんに楽しんでいただく事に徹したエンターテイメントの精神、瀬下尚人のタップにはますます磨きがかかり、石坂勇は人生の深さからにじみ出たような芝居を見せ、いつのまにかみんなの笑いの中心にいる右近良之は今回も愛嬌たっぷり、松田優作に憧れる徳永邦治は仮装大会で遂に勇作に扮し本領発揮、そして、ソロ公演を重ねて来た舘形比呂のダンスが光る。

 何度も何度もカーテンコールが続き、高潮したお客さんの笑顔とざわめきで溢れていた会場を後にすると、外は霧雨の有楽町。つい背をかがめて歩きがちな雨、なのにこの日は凛と上を向いて歩く自分がいた。

 TEXT:Nao.K