|
|
●さかのぼる事7月にリリースされたマキシSG「裸の王様」のカップリングに収録されている 「GREPEFLUITS」。ココ最近ではラブサイケデリコのメインストリーム的サウンドに仕上が っている1曲だと思う。「GREPEFLUITS」と「GREAT U(素晴らしい君)」をかけた言葉遊 びが実にラブサイケデリコというアーティストのバイタリティの高さを象徴していて、しかも イマジネーションを掻き立てるニクイ表題だと思った。これと同じタイトルをかかげた今回の ツアーは、主要な都市を省き、普段彼らを見る事が非常に難しかったファンの為に、考えられ ないようなキャパシティでのライブが実現となった。もちろん高知キャラバンサライもその一 つ。狭い会場を埋め尽くすオーディエンス達が待ちわびていたパフォーマンス、最初のナンバ ーは「Starting Bird」。CDを通してしか聴く事のなかった彼ら音楽は、どちらかと言えば女 らしさをイメージさせるような、そんなしなやかさが私の心を掴んでいたが、実際に生で聴く KUMIの声のなんという力強さ…。続く「Free World」ではお馴染みの曲に会場のボルテージ もアップ、そして「GREPEFLUITS」。女性の優しさと男性の強さを持ち合わせたようなKUMI のヴォイスは、まさに変幻自在。立て続けに「You ate it」「unchained」と披露し、初めて KUMIが口を開いた。「この間来た時に桂浜を見に行ったの。夜だったから空にぽっかり浮かん だ月が綺麗で…。」そんな言葉を交わし「I willbe with you」。月の満ちていくように、ゆ っくりと心に染込んだ1曲だった。そして待ちに待った「Last Smile」。会場は大きく沸き立 ち、一つになり、グルーヴ感に身を委ねているオーディエンス。余韻を楽しんでいると、その 空気を一変するかのように始まったのはNAOKIの巧みなインスト「Green〜dry down」。激し くオーディエンスをあおり、掻きむしるように続くギタープレイには圧巻。「life goes on」 ではドラムとギターのアレンジがかなり進化して、今まで聴いた事のないような大きなスケ− ル感で会場を包み込んだ。「LOW」「“O”」と続き、クオリティのの高さを見せつけた「LADY MADONNA」で本編終了。アンコールでは3曲を披露した後「Do you wannaone more song?」 と言って「ノスタルジック'69」をプレゼント!内容の濃い2時間となった。 別れを惜しむアンコールが飛び交う中で、私はふとKUMIが途中で投げたグレープフルーツの事 を思い出していた。MCの時のKUMIの言葉「皆のグレープフルーツのイメージは何?黄色?ビタ ミン??私は演奏しながら、ここにグレープフルーツがあるような感じでやっていて…」。そし て言葉を濁すようにセットに使っていたグレープフルーツを「好きなの!」と言って会場に投げ たあの瞬間…。音楽とは自由でいい、捉え方も表現も…その代わりにもっとイマジネーションを 豊かに…見えない事にも気付いて欲しいんだと。みんなの心の中にあるグレープフルーツって何 ??そう言って彼女はグレープフルーツを会場に投げたのだと…。素晴らしきあなたに心を込め て…。それは彼らがこのライブに込めた気持ちそのものだったように思う。 '60s〜'70sロックテイスト的サウンドを武器に、時にはカントリーやブルース、デジタル などでアレンジされたサウンドと日本語・英語を微妙に交えたアンニュイな歌詞で新しい音楽の 可能性を私達に見せてくれたラブサイケデリコ。彼らが心に持つグレープフルーツとは??何だ ろう?私はきっと、常識をはるかに超えた自由と想像のかたまりなのだと思っている。
|