谷村新司 
5/30(金) 徳島市立文化センター
text●四国放送 編成制作部 北尾好孝


SET LIST 
1.明星 2.九龍の出来事 3.冬の稲妻 4.夢去りし街角 5.遠くで汽笛を聞きながら 6.走っておいでよ恋人よ 7.つらつらと 8.いい日旅立ち 9.今のままでいい 10.秋止符 11.22歳 12.ガラスの花 13.最後のI LOVE YOU 14.Far away 15.スーパースター 16.残照 17.宝石心 18.チャンピオン 19.群青 20.昂 E-1.サライ

 

●38年ぶりに5月に台風が上陸する前日、5月30日金曜日。 徳島市立文化センター は、外の湿気を上回る、それでいて静かな興奮が満ちていた。   今回のツア−で、しばらく「生・谷村」 は徳島では見られないという。 観客は、自分の胸に「チンペイさんと過ごした一 夜」をしっかりと刻むべく、それぞれに準備をしているようだった。   午後6時40分。ステージ下手から、懐 かしの「ギブソン・ダヴ」を抱えて出て来た谷村さんの姿に、大きな拍手。 まずは「明星」で本編スタート。引き続き「 九龍の出来事」(アルバム「Emblem」 に収録)4曲目の「夢去りし街角」の時、これまた懐かしの「弦切り」。 しかも太い弦。(アリス時代から、谷村さんが切るのは、何故か3弦・4弦が多い。切りにくい太さの弦なのだが…。) ステージ・ト−クで、何故今回のツア−で一区切りつけるのかを、いつもと同じく淡々と語る。 この時、高校生時代に聴いたソロア ルバム「海を渡る蝶」の中の言葉を思い出していた。 「人生という名の部隊で私 は演じる 時に男を 時に父親を (中略)ただ、すべての役を完璧にこなせ程私は名優ではない。何かの役に詫び乍らの、日々…。」 あの頃理解できな かったことが、22年経って幾つかではあるが、理解し、納得できるようになった。 ラジオ番組で盛り上がった「22歳」。 イントロの羽田健太郎さんのピアノに圧倒された「群青」。 父親の唯一のカラオケレパートリー「昂」。 アルバムに一枚ずつ写真を整理するかのように、ステージ は、時間は進んで行いく。 「宝石」とは、 谷村さん曰く中国語で「夢」のこと。つまり、「宝石心」とは「夢を持つ心」。 谷村さんが、ステージの上から送ってくれた「宝石=夢」の原石を、次に逢う時まで磨き続けていたい。 文末に高校生時代からの大好きな言葉を置いて終わりたい。 これもアルバム「海を渡る蝶」の中から。 「時が来れば行く夢は夢に非ず」夢は見るだけのものじゃなく、叶えるために見るものだと谷村さんから教わった。 あの「熱さ」を、台風前夜 思い出していた。 谷村さん、再見。