
text●内藤智枝
これが『MONSTER baSH』、
これこそ『MONSTER baSH』
2003年8月23日・24日、快晴。
気温は36度を越そうかというところまで上昇し、容赦なくジリジリと肌を焼いていく。流れる汗もとどまるところを知らない。渇くのども、潤せど、またカラカラにひからびていく。もう、酷暑にやられっぱなしでカラダは限界。なのに、こんなにも気持ちが高ぶるのはどうしてなんだろう?
私はこの日、生まれてはじめて野外ロックフェスの会場に立っていた。
会場である国営讃岐まんのう公園・芝生広場。その広大な広場を埋め尽くす、baSHオーディエンスの波間に立っていた。青々とした芝生は、いくつもある小高い山へと続き、そのまま天まで届きそうにつながっている。そんな、いつもは穏やかであろう広場の空気が振動するのだ。その広場の地面が振動するのだ。全身を突き上げるように、音が鳴り響いてくる。
4回目を迎える今年は、ステージ・『空海』とステージ・『龍神』で、交互にライブが披露された。
この演出は、ものすごく巧妙だった。両サイドから嵐のように巻き起こされるステージングに、オーディエンスのボルテージは上がりっぱなし。龍神に立つアーティストは、より大きなテージ空海を目指し、ステージ規模以上の力を振り絞り、噛みついてくる。空海に立つアーティストも、そのパワーを感じながら、そのパワーを食い尽くすかのように、さらなるヒートアップを見せてくる。この鳥肌が立つような光景は、きっと今までにはなかったものに違いない。こんなめまぐるしい戦いがあるかと思えば、小高い丘の上でそれぞれにくつろぎ、ひと休みし、静かに見守るオーディエンスもいる。これも、アリなのだ。これで、いいんだ。それぞれの本能的思いに従って、皆が、この時間を、この場所を楽しんでいる。日常にはない、誰にも束縛されない自由が存在する。
私はここで、ものすごく大きな感動をもらった。
それは特に、オーディエンスのみんなからもらったものだった。とにかく、この2日間は意識がもうろうとするような暑さだった。だがそんなこと、ものともしないハイテンション!ステージに送る声援、笑顔、拍手。このステージを支える大きな柱はあなたたちだったんだ。普段はそれぞれの生活を送っている人たちが、『MONSTER
baSH』を通じてこの時間を共有している。
皆の間には、いい空気が流れていた。お互いが楽しんでいるのを、あうんの呼吸で確かめ合い、お互いが楽しめるよう、あうんの呼吸で励まし合っている。それは、カメラを向けた瞬間にも分かる。見ず知らずの私を誰もが受け入れてくれるのだ。受け入れる誰もに、垣根なんて存在しなかった。むしろ、取材者である私も、『MONSTER
baSH』の一員として歓迎してくれたのだ。「STAFF」という肩書きをもらうだけでは得られない実感だった。私も、ココにいる!皆に分けたい幸せ、皆で分ける幸せ、それをいっぱい、いーーーっぱい感じた。LOVE&PEACEって、こういうことだったんだ。 |
|