彼女のテーマ曲といっても過言ではないだろうか?『夢は夢のままで』という曲はそのくらい彼女の人生に根差し、彼女そのものを映し出した一曲だと思う。また同曲は映画『ロード88』挿入歌としても使用され、劇中観客の心をぐっと引き寄せる大きな役割も果たしている。この映画との運命的な出会い、そして古瀬陽子と『夢は夢のままで』の楽曲について話を聞いた。

 

 

「聴いてくださるお客さん皆に届くように歌うのはもちろんですが、その先の、もっと先をイメージして…宇宙の果てまで届くようなイメージで歌っているんです」

―『ロード88』公開前の舞台挨拶では生歌を披露してくれましたね…あのパワーには驚きでしたし、小さな古瀬さんが凄く大きく感じましたよ
「ありがとうございます!でもあくまで試写会だったので、私のライブではなかったからお客さんを傷つけちゃいけない!!っていうのがあって…凄く緊張したんですけど、そこはベテランの俳優・小倉さんがギャクを言ってくれたりして和ませてくれたんです。お陰でのびのびと歌うことが出来ました。実際舞台に立って歌うと凄く気持ちがよかったし、そして何より嬉しかったです」―古瀬さんご自身も映画は一緒にご覧になったんですよね「そうですね。この映画は何度も見てるんですが、高松のお客さんは凄いなぁ〜って(笑)。笑うところは大声で笑うし(そこまで笑うの!!っていうくらい)、涙を誘うシーンではすすり泣く声が、エンドロールが流れる頃には一斉に盛大な拍手が起こって…あんな光景を初めて見たので、あれこそが生ライブだったなと(笑)」                     

―四国は初めてだったんですか?
「はい。私はこの映画の事がなかったら、四国には来たことが無かったので、凄く貴重な時間を頂いたと思っています。この映画の大事なシーンで楽曲を使ってもらえた事で、そこから私に興味を持って頂いて、CDを聴いて頂いたり、ライブに足を運んで頂いたり…そこから一人でも多くの人が頑張っていこう!と思ってくれたらいいですね」

―『夢は夢のままで』はまるで映画の為に書き下ろしたような内容ですが、そうではないんですよね?ある種運命みたいなものは感じませんでしたか?
「これは話せば長くなるんですが(笑)…選んで頂いたアミューズの会長の力が大きいと思うんですけど。今年のお正月、早朝に私は自転車に乗っていたんですね、で、空を見上げたらまだ満月が出てて…満月の日って何かあるって言うけどって寝ぼけながら考えてたら、いきなりこけて顔面から突っ込んだんです(笑)。正月からツライな〜って思ってたら、訪ねた先のおばちゃんに“古瀬ちゃん今年はいいことあるんじゃないの??厄払いよそれ!”って。そうしたら2〜3日後にアミューズの会長から連絡があって映画の話が来たんです。実際にお会いしてこの曲が使われるというシーンを見せて頂いた時に“あっ!!”と思ったんですね、それは何年か前に私がこの曲を書く時に思い描いていた情景と凄く似ていたんです。これは運命的な出会いかなと。会長も何枚もあるCDの中から私の曲を聴いた瞬間“これしかない!”っていう直感が働いたらしいんです。私も作品を見終えた今、これは映画の為に生まれてきた曲なんじゃないかって…本当にそういう気持ちになってて」

―素敵なお話ですね。古瀬さんにとってもやはりこの曲はスペシャルな1曲になったのではないですか?
「上京して丁度2年目くらいの年に、悩んでいた時期があったんですよね、今後どうしようかな〜って。それでまぁ気分転換に実家に戻っていまして、色々と考えていたんですが、朝目覚めるちょっと前にこの曲のメロディーが流れてきて…“あぁ書かないかん!!”って。夢を忘れないうちに書き留めるみたいに、この曲をバーッと書き上げたんです。自分でもビックリするくらいスムーズに完成して…それから一言一句直してないんですよ。もちろんメロディーも。だからもし神様がいるんだったら“あんた”チャンスやるっちゃけん、頑張らないかんよ!”って(笑)。それからこのままではいかんなと自分探しの旅に出たんですよ。東京―博多間を青春18切符で2往復したんですね。その中で知人と会って話をしたり、ちょこちょこライブをやったりしたんですけど、常にこの曲『夢は夢のままで』は絶対に歌ってきたんですね。不安を抱えながら歌った日もあれば、絶対に大丈夫と思って歌った日もあって…色んな気持ちを抱えながら歌ってきた曲だから…そういう意味ではとても思い入れの深い曲やと思います」

―夢は夢のままで…タイトルはなぜここで区切ったのですか?これを見た時、夢のままじゃいかんやん!!って。正直私は思ってしまったんです…
「これには色んな意見があって(笑)。そういう意見ももちろんあったし、例えば歌詞中の“宇宙のベットでひと休み”とか。でも私は聴いてくれた人の想像力に任せればいいかなと。夢を追いかけてる人は、終わらせてたまるか!って思うだろうし、夢なんて追ってもしょうがないって思っている人もいるかもしれない。このタイトルに何も感じない人だっている。私の曲は意外と聴き手に任せる部分が沢山あったりしますね」

―さっきも出ましたが“宇宙のベット”っていうのも興味深い言葉ですよね?
「これはよく聞かれるんですよ。ここで私がイメージしているのは生まれてくる前の母親のお腹の中なんですね。母体自体が何か神秘的で…それが宇宙に繋がるなと。宇宙をイメージする事は他にもあって、歌を歌っている時も前にいるお客さん全てに届くように歌うのはもちろんですが、私はもっと先の、その先の、宇宙の果てにも届けばいいなと…そんなイメージで歌っているんです」

―なるほど。だからあんなにパワフルに伝わってくるんでしょうね。宇宙と言えば、以前中村監督にお話を伺った時に聞いた“色即是空 空即是色”の捕らえ方にも繋がるなと。確か監督もこの言葉を宇宙に例えておっしゃってました
「そうなんですか?!であればやはりこの映画と私は何か運命的なのもので導かれていたんでしょうね」 

―10月には高松でライブも決定しているようですが、最後にメッセージを
「この映画の挿入歌に選ばれた事が凄くありがたい事だと思うし、嬉しい事です。そのお陰で四国の皆さんともお会いできるチャンスができたと思っています。このチャンスを生かして一人でも多くの人に歌を届けたい!!そう思っています」                                  

●SG『夢は夢のままで』NOW ON SALE!