
「au」presents LIVE TOUR 2004「走れ、十月の息子」
11/4@香川県県民ホール・アクト

text&photo●aco nagata
●10月13日からスタートしている河口・初の全国ツアーが、待ちわびたファンの元、ここ高松でも実現した。長い活動歴と、豊かな感性で描かれた安定感のある楽曲からすると、“初”というのが何か聞き間違いのようで、開演中何度も耳を疑ったが、それでも演奏中のふとした仕種や、MCでのシャイな姿には初々しさが垣間見れ、いい意味での“裏切られる感”がとても心地よい一時だった。
今回のツアーはアルバム『日々燦々』リリース後という事もあり、楽曲の8割はこの作品の中から披露された。“日々燦々”とは河口自身が作ったという造語。「毎日わりと同じような繰り返しなんだけど、何かしら変化というものはあって、そういう小さな変化も喜べる…喜びを見出せるようになれたらいいなという思いを込めて、このアルバムを作りました」。太陽がありきたりな毎日を照らしてくれたらいいなぁと、自分の日常・身の回りに起こった事を描いたという。だからだろうか…河口のステージには穏やかに流れる温かさがある。春の日溜まりの中で何かに守られているような、人肌に近い温かさなのだが、ただ単に温かいだけではなく、その深層部には“静かな熱さ”も感じられる。アクの強さとか、ズバ抜けたパーソナル感とか、一度見たら忘れないといった視覚に残るようなギラギラした熱さではなく、蝋燭の炎の青い部分みたいに、静かに、でも確実に高温で燃焼しているような…。そんなテンションのまま、まるで目の前にいて語りかけているかのように優しく、時に切なく、限り無く自然な状態で耳元までやって来る曲達。まさに“さり気ない日常”の“そこに溢れる喜び”を切り取り、歌にして紡ぐ彼ならではの才腕。
構成はバラード調の曲だけでなく、ぐっと踏み込んだアップテンポの曲や、一緒に歌える曲も用意し、会場とのコール&レスポンスもバッチリ。大ヒットとなった『桜』や『愛の歌』、『水曜日の朝』でも気合の入ったパフォーマンスを見せ、会場のボルテージも最高潮へ。「全国ツアーができるようになって自分の中で一番変わった事は、こんなに沢山の人が集まってくれるようになった事。今まで音楽を続けていたお陰で、自分も成長できました」と語る河口。自身を決して飾らない、正直な彼の言葉は、大切な物に気付かせてくれる。普通の事、当たり前の事がとても大切で、カッコイイ事なんだと改めて実感できた良いライブだった。
SET
LIST
M1.冬の匂い
M2.アスナロ
M3.休憩
M4.さよならベイベー
M5.水曜日の朝
M6.ディレイタイム
M7.空と自転車
M8.桜
M9.無常 |
M10.夢の真ん中
M11.どこにもいない
M12.カペラに願いを
M13.ROCK ME NOW
M14.愛の歌
M15.くちぶえ
En1.シュガー
En2.私のすべて
En3.A Place In The Sun
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AL『日々燦々』NOW
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