Special Live-2003.12.19@高知BAY5 SQUARE

text●aco nagata




                             

 PE'Zというアーティストを“ジャズ・インスト”というジャンルのフレームに収めてしまうには、あまりに彼らが窮屈そうだ…。なぜならPE'Zの音楽には所謂“ジャンル”とか“セクション”いう垣根をいとも簡単に飛び越えた、あらゆる楽曲の息吹を感じるからだ…。この日始めて彼らのライブを目にした私は、すぐにそう思った。 シーンに新しい風を巻き起こしたのは1999年10月、Ohyama "B.M.W" Wataru(Tp.)を中心に、ヒイズミマサユ機(Key.)、Nirehara Masahiro(B.)、Kadota "JAW" Kousuke(Sax.)、航(Dr.)によって結成。渋谷の路上などで行っていたストリート・ライブが話題となり、瞬く間にその人気は飛び火。満を持して2002年の4月、「Akatsuki」でメジャーデビューを果たした。その後メキメキと頭角を表し、高い評価を受ける中で、更なる新境地を開いたのが、今回のライブメニューの中心にもなっていたセカンド・フルアルバム『極月 -KIWAMARI ZUKI-』だ。 最新シングル「大地讃頌」(CDでは初めてボーカリストを起用した作品)をはじめ、「DRY! DRY! DRY!」、「花咲クDON BLA GO!」、「アンダルシア」、「WONDERFUL DAYS」他、全14曲を熱演。タンゴからテクノまで、今までにない要素を意識的に取り入れたという新作は、やはり一筋縄ではいかない“PE'Z流インストミュージックの玉手箱”という感じ。他を寄せ付けない、圧倒的な才能と卓越したパフォーマンスはさすがで、ライブにより楽曲の持つ広がりは更に高い次元で昇華する。久々に新しい音楽の扉を開いた…そんな気分になった。また忘れてならないのは、言葉遊びで楽しませてくれる、あるいは日本語の持つ面白さを際立たせたようなウイットに富んだタイトルセンス。これにより曲の持つ絶妙なニュアンスは、どれだけ伝わり易い事だろうか…と、曲に向き合う彼らの誠実さに、PE'Zの門を叩いてみたいという思いにさせるのだ。 “ジャズ”“インスト”というフィルターを介し、PE'Zのサウンドは今後どのように進化してゆくのか?一つだけ言える事は、広くポピュラリティーを持った彼らの音は、年代を問わずより多くの人の心に届くはずだという事。

 

SET LIST

1.花咲クDON BLA GO!
2.DRY! DRY! DRY!
3.アンダルシア-Andalucia-
4.INUNIGEL
5.WONDERFUL DAYS
6.BIG EAR〜手痛い洗礼そしてVへ〜
7.mo'moonlight
8.大地讃頌
9.Akatsuki
10.婆裸夢遊〜不可能を可能にする男〜(ex.015)
11.collective mode
12.HEY! JORDU!
13.SPIRIT
14.Hale no sola sita〜LA YELLOW SAMBA〜