Live Tour 2004 YAIKO/ROCKS 50 ROUNDS
2004/4/10(sat) 松山市民会館 text●門屋奈緒

 

 桜が惜しまれながらその花びらを落とし始めた頃彼女はやって来た、ポカポカの陽気と共に。彼女の曲は今日のこの天気のように澄み切ってて、高くって、広くって、大きい。ポリシーはあっても決まりごとはない。奇をてらう訳ではないのに面白い。解き放たれた自由な音楽だ。

 大声援の中薄暗いステージの上に姿を現した矢井田瞳。女性のお客様の声援を聞けば、彼女が同性異性を問わず愛されていることが分かる。暗い照明のままで1曲目を演奏、早くヤイコの元気な顔が見たい!バックに掲げたツアータイトルの書かれた大きな黒幕が落とされると同時に、黒のタンクトップにブーツカットのGパン、つやつやのストレートの髪、裸足、というヤイコの姿が照らし出された。「お待たせー!今日も最後までよろしくねー!」馴染みの関西なまりで会場に向かって叫んだ、キラキラの目をして。
 ギターを置きステージの端から端へと歩きながら楽しそうに歌い、ひとり一人の顔を確認するように照明に手をかざして客席を覗き込む。それに応えるように、お客さんの拍手ひとつひとつが力強く、4曲目『一人ジェンカ』を歌い終える頃には、既にステージと客席とがしっかりと手を伸ばし合い結び合い繋がっていた。

 今日のステージには過剰な飾りが無く非常にシンプル。その分、とにかく照明が美しかった。派手だというのではなく、色使いや照らし方がとてもセンスよくヤイコの楽曲をとヤイコの存在をキッチリ引き立てている。そこに彼女が立ち、彼女の歌があればそれでもう十分なのだ。暗いステージに天から差す真っ白で真っ直ぐな光の輪が何重にも重なりヤイコを照らしていた『孤独なカウボーイ』。足元に重なり合った光の輪は神秘的で、この中に立てるのは神聖な者のみであるようにも思えた。
 不安定な音階が繋がるAメロが印象的な『未完成のメロディ』。この掴みにくいメロディがこんなにも心地よく聞こえるのはなぜだろう?自分の中にある正体知れずで説明がつかなかった欠片と欠片が、サビメロへと向かうにつれジグソーピースのように繋がっていく感じがした。

 MCになると、照明スタッフに頼んで客席の電気を点けてもらった。「すごい!丸見え、丸見え、みんなの顔見えてるよ〜!みんなの声聞こえてるよ〜!」2階後ろの立見の人まで確認し、その後は「すごく実りの多かった」という昨日の松山散策での出来事に花を咲かせた。白いコンビニ袋を持っているかと思えば中から出てくるのは戦利品の数々。遅ればせながら最近ハマッているというUFOキャッチャーでゲットしたバナナ、みかん、レモン、松山に来る度に気になっていたというロバのパンの店で買ったアンパンマンクッキー。「あのギリギリ気持ちの入ってない店内のアナウンスがええねん(笑)」会場爆笑。毎日の出来事を宝物のように大切にし、小さな出来事にも感動する。そして生まれるヤイコの"人間くさい唄"。9曲目『マーブル色の日』は、映画『今日の出来事』のエンディング・テーマとして書き下ろしたもので、些細な日常を切り抜いて歌にしたという。ピアニカのどこか懐かし響きが効いた優しくってかわいい曲だ。
 マイクから外れ肉声で聞かせてくれた『Life's like a lovesong』の一節。愛の歌のような暖かくってやわらかで滑らかな毎日が送れたらいいね、すてきだね。

 12曲目からは再び総立ちとなりノンストップで8曲をを熱唱。ギターをかき鳴らし、叫び、ヤイコもメンバーもお客さんも汗だくで楽しんでいる。2000人のライブハウス状態。「いつまでも側に置いてね、死ぬまでスキと言って。一度も休まず愛して。なぜならあなたのことを愛しているんだもの・・・」リズムも内容もどんどん加速していく怖いくらいの愛を歌うメジャーデビュー曲『B'coz i Love you』。ストレートで強いメッセージをつきつけられ忘れていた素直な感情にドキリとさせられた。この辺りから会場の温度上昇を確実に感じ始めた。手を叩く訳でも踊る訳でもなくただペンを走らせているだけの私の額にじんわりと汗がにじんで来た。男子も女子も老いも若きも1階も2階も大盛り上がり、大はしゃぎだった「Keep On Dancing!」のコール&レスポンスでは、ヤイコに「みんなむちゃ声でかいー!ムチャムチャ燃えてるよーありがとー!!」と言わしめ、本編最後の曲『Hello』で完全燃焼。思わず出た、という感じのガッツポーズをしながら舞台下手へと消えて行った。

 暗い会場のステージの真ん中に高く輝く星1つ、大声援とアンコールの拍手を受け止めていた。見つめながら手を叩くみんなの胸には何が輝いているのだろう?あの星の向こうに何を観ているのだろう?希望、愛、何かしら非常にプラスに働くものが輝いているはず。
 ダリ〜ダリ〜♪のサビのファルセットが超キモチイイ、超カッコイイ『My Sweet darlin'』でアンコールスタート。「今年イチ熱いです!ライブって最高やなーって実感してます!」松山でのライブは異常に盛り上がると噂は聞いていたが、なるほどの盛り上がり方だ。
 「また会えましたね(笑)。ほんまに今日はみんなスゴイんよ、めちゃめちゃみんなのエネルギー伝わってきます。ありがとう。」2度目のアンコールで登場したヤイコは、Gパンの上からスリットとドレープの効いたドレスをしっとりと着ている。そしてステージの上には1台のグランドピアノと1人の「人間」、矢井田瞳。ラストは『この恋はもうしまってしまおう』。この切ない曲に会場中の静けさがさらに深さを増していった。私の筆音すら響いてしまうほど。
 

 束の間の非日常2時間、全23曲、本当に1曲1曲、丁寧に丁寧に届けてくれた。苦手で嫌いなものから目をそらしたり片目をつむったりしながらやり過ごして来た弱い自分を叱咤し励ましてくれた。明日から始まる日常がキラキラ輝いているように思えてきた。

 

1.nothing
2.見えない光
3.Slide show
4.一人ジェンカ
5.孤独なカウボーイ
6.未完成のメロディ
7.Are you ready? Boy
8.マザー
9.マーブル色の日
10.ベルと本とキャンドル
11.Life's like a lovesong
12.Creamed Potatoes
13.Dizzy drive
14.Girls Talk
15. ママとテディ
16. B'coz i Love you
17.Look Back Again
18.Keep On Movin'
19.Chapter01
20.Hello

E1.My Sweet darlin'
E2.チェイン
EE1.この恋はもうしまってしまおう

 

〜夏もヤイコでGO!GO!〜
80215special 矢井田瞳 Summer Festival GIRLS TALK

2004 8月1日(日)大阪万博記念公演もみじ川芝生広場特設ステージ ※雨天決行
15:30open 17:30start
 ブロック指定\6,300(オールスタンディング・整理番号あり)

※自然文化園入園料\250当日別途必要
【問】ソーゴー大阪 06-6344-3326

矢井田瞳 Summer Festival GIRLS TALK
2004 8月7日(土)横浜みなとみらい特設ステージ ※雨天決行 16:00open 18:00start
エリア指定\6300(前方はエリア指定、後方は座席指定)
【問】SOGO 03-3405-9999 キョードー横浜 045-671-9911