text●YOSHIKAZU OKAMOTO (from FM KOCHI)

『Ken's Bar』は平井堅のライフワークとも言うべきライヴの姿であり、本人も常日頃から言うように、平井堅がマスターで、良い音楽と料理、お酒をお客さんに提供するというのがコンセプトだ。夕暮れの吉川村天然色劇場に目一杯集まったオーディエンス、のどかな夏の光景の中、マスター平井堅が登場した瞬間、なんとも言えない空気が会場を包んだ。これは何だ?楽しみにしていたその瞬間、心待ちにしていた光景が現実のものとなって眼前に広がった瞬間のため息か?時々おもう事がある、ライヴは始まるその瞬間が最高だと。あの何とも言えない感じは、言葉では表現できない。夕暮れ時に歌いたかったという『キャッチボール』からスタートした第一部の堅vs楽器は、Life isまでの6曲。PV上映等をはさんで、BANDスタイルでの第二部は、『KISS OF LIFE』からスタート、今回のTOURの各地で飛び出したというお上品な?MCをおりまぜつつ、あまりにものどかな光景に心を奪われたのか、「のどかですね〜」を連発しながらステージは進んでいく。野外ならではのハプニング、熱唱途中の平井堅の鼻の穴に虫が飛び込んだりしながらも、Ken's Barはどんどん盛り上がっていく。中でも強く印象に残ったのは、やはり映画のロケ地四国の人間だからだろうか?『瞳をとじて』。魂というか何と言うか、本当に痺れてしまった。そして、初めての場所でのライヴという独特の空気を良い意味で破壊したのが終盤の『LOVE LOVE LOVE』、曲が始まると同時に会場の空気が一変!平井堅に、『最後に高知のパワーを見たなぁ』言わしめる盛り上がり。楽しい時はあっと言う間、ラストでは新曲も披露して、平井堅の高知初ライヴは幕を閉じた。音楽に、歌に魂が吹き込まれる瞬間を体全体で感じる事ができるライヴ、それでいて笑って泣いて盛り上がって・・・。2004年7月24日、吉川村天然色劇場は、優しい魔法に包まれたのでした。