“スネオヘアー”その名前から抱くイメージに私は何度裏切られた事だろうか。繊細でナイーブ、かと思えば大胆で独創的。彼は常に自分と向き合いながら(時にはアパートの壁を食べながらも)心の中をすり減らしたり、鏡に映し出してみたり、そこから生まれる真実を大切にしているアーティストだと思う。シンプルだが美しいメロディーと歌詞は、ピュアなハートが生み出した宝物だ!キャンペーンにて訪れた本人にAL『フォーク』と間近に控えたライブにちて話を聞いた。

nterview●aco nagata


「シンプルでダイレクト、それが今後の作品において核になっていくんじゃないかと思います」

―高松/香川はモンスターバッシュ以来ですよね?
「そうですねー。キャンペーンでは初めてになるのですが、モンスターバッシュが自分的に凄く楽しいイベントだったので…イメージいいですね。お客さんも良かったし、お酒もいっぱい飲めたので良かったです(笑)」

―そのいいイメージっていうのは次へ繋がる感じですか?
「それはもう!繋がりますね!お客さんに甘えるつもりはないんですけど自分なりのいいライブをやって、あの時と同じように美味しいお酒を飲みたいですね」

―さて、昨年はマスターピースと言っても過言ではないほど素晴らしいAL『フォーク』をリリースされましたが、メンタルな部分ではかなり充実されていたような印象を受けました
「そうですね。決してアガリっぱなしというわけではなかったですけど(正直自分と向き合うという作業はキツかったりもするんですが)それを作品として出せた事が集大成的なものになったというか。次が見えて来る作品にはなりました」

―次が見えると言うと?
「まず“歌が好きだ”という部分でいいメロディーを書いて行きたいなと。あとは自分が感じている嘘がない言葉ですかね。シンプルでダイレクト、それが今後の作品において核になっていくんじゃないかと」

―“嘘がない言葉”とおっしゃったように、全体的にメッセージ性の強いものが多かったように思います
「やっぱりそういった前向きなメッセージも歌っていきたいですからね…。ただそればかりだと嘘臭く聴こえてきて…自分が歌うものに対して嘘は嫌なんですよね。そうするとどんどん自分と向き合うような形になって行くんですよねぇ〜」

―あまり向き合うのは得意じゃないんですか?
「んー大変でしたね。なるべくその時の気持ちに近い言葉を探していくとストイックになっているというか…向き合う事で自分の嫌な部分も見えて来るし、苛立ちとか葛藤とか…それがキツかった。ただ、自分の事さえも良く分からないのに人の事はもっと分からないと言うか…だからこそ、自分の目線で物事を考えて行くという…僕の歌っているところは、すぐに手が届くくらい身近な所ばかりなんですけど、でもそれは他の事に置き換えても同じ事が言えるような気がするんですよね。そこを歌えば共通のメッセージ性として聴き手の皆さんに理解してもらえるのかなって」

―煮詰まった時に気分転換は何かされないんですか?
「それがよく出来ない人間なんですよねー。だからこう爪を噛んだり(笑)、壁をおもむろに殴ったり(笑)…でもやっぱりお風呂とかですかね?24時間焚いておいて、いつでも入れるようにはしています」

―意外ですね?!半身浴とかなさるんですか?
「そうですねーでも、あの、お金ならあるんです」

―(爆笑)…話を戻しますが、ALの中で『自我像』という曲だけが他の曲とは一線を画している気がするのですが…
「あの曲は二重生活をしている感じなんですね。自分の中で何か矛盾する気持ちがあって(何処かで痛みを感じた瞬間があるのにそれを忘れていたり、ダメなんじゃないかなと思っていたくせにしぶとく生きてしまっていたり)、それを曲にしたかったんです」

―他の曲がわりと聴きやすかったので、この曲が凄く気になってたんですけど時期的にはどの曲も同じ時に制作されたんですよね?
「そうですね。ただ、多分自分の中でも相当ダメだったんですね。10代〜20代含めて1〜2番くらいにダメだった。アパートの壁を食べていた時以上に…」

―正気ですか?!
「(笑)そのくらいダメだったんです。だからこそ自分に光を当てたかったというか、テイストの違う曲が生まれたんじゃないかと…」

―なるほど。楽曲的にはさきほどもおっしゃってたみたいに余計なものが無いと言うか、シンプルな作品が多かったですね
「もっと言えば“地味”!このアルバムの中では自分がやりたいと思っている“好きな曲”をやりたかったんです。いいメロディーを書いて行きたいという気持ちでいつもいるので、その気持ちに対して嘘が無いということだけを意識してやりましたね」

―際立つメロディーが凄く自然に入ってきました
「シンプルにする形で世界観を広げて行きたいという…足して行くのではなく減らして行く事で、余白部分を生かしたかったというか。ただし、しっかりとした線がないと、全体が見えちゃう分グラグラもしますけど。スカスカの部分に言葉とかメロディーがダイレクトに入って行くというのをやりたいなと。だから次の作品なんかはもう全部歌だけになってしまう!!みたいな(笑) アカペラかよっ!みたいな(笑)」

―ジャケットは今回の作品の中でもキーワードとなっている“フォーク”をモチーフにしたものですが、スネオさんの“フォーク”の捉え方が凄く皮肉ってて私は好きなんです
「あの“フォーク”っていうのはスネオヘアーのメンタル的パンクの象徴(メッセージ)だと思うから…相当悲しみをバカにしてみたんですけどね。俺が何かをするとか、何かを変えるってことは多分できないので、自分らしく言えば(切り捨てるというのも違うし)、フォークで刺して『コノヤロッ!!』みたいな。食べてしまえばいいかなって」

―さて四国は3/5(土)のオリーブホール、ライブが迫ってきていますが、またCDとは違った楽しみがありますよね?
「そうですね。作品としてのCDとライブは別物なので。お金を払って来てもらう、自分の書いた言葉を自分の口から発して、いいライブをやりたいっていう何かミュージシャンとしての本業な感じがするんですよね。ソロとは違ったバンドサウンドでグルーブ感を重視していきたいです」

―それにしてもタイトルが“まんざらでもない”ですよ!
「まだまだスネオヘアーを知らない人っていっぱいいると思うんですよ。だからそういう人に対していい意味で裏切っていけたらいいですよね。自分の中にあるものをやった結果、どういう印象に残るかっていうのを想定した時に“うん!まんざらでもない!”っていう。コレ、納得ですよね」

 

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