4/9(SAT)@高松オリーブホール

text&photo●aco nagata

●絶頂と轟沈の繰り返し。銀杏BOYZのライブとは、うまく言えないけど、そんな感じだ。上半身裸で、それがツバだか鼻水だか汗だか涙だか分かんないような液体をそっこら中に撒き散らし、格好とかホントどうでもよくて、愛とか戦争とか援交とか(全く理解不能な事とかもあるけど)普段思ってても恥ずかしくて人に言えないような事とかを、物凄く真剣に、生々しく、鼻息荒く歌にする。もうそこには理性なんてあったもんじゃないし、絶対的に綺麗なものではないし、カッコイイかと言われたら首を傾げてしまうのだけど、それでもこの銀杏BOYZ・峯田和伸をいとおしいと感じるのは何故だろう…。
 彼は少しばかり私たちよりもセンシティブに生まれてきたのかもしれない。内外的にもストレスフルな要素が多い世の中で、人一倍に矛盾や歪みにもがき、苦しみ、地団太を踏みながらも戦っているような…結局その結果はダメ男だったりするんだけど、立ち向かう直向さだけは本物なのだ。嘘がないのだ。私たちはその姿に自分自身を投影させ、そして一緒に戦ってみたりするのだろう。
 長いMCの中に、とても印象的な言葉があった。「僕には渡せもしないのに書き綴ったラブレターが山ほどある。でもそれを歌にする事で、ここに来てくれた皆がその気持ちを分かってくれたのなら、これほど嬉しい事はない」と。いくら吐き出しても心の隙間なんて埋まらないのかもしれない。それでもその隙間を埋めようと突き上げられた拳には、見えない不思議な力を感じずにはいられなかった。あなたは今日いくつの絶頂と轟沈を繰り返しただろうか?脳天が張り裂けそうなほどの興奮に出会ったかと思えば、今度は奈落の底みたいに深い悲しみに打ちひしがれる。ライブハウスという狭い空間で繰り広げられる魂のディスカッション、それが銀杏BOYZ。
 届かないラブレターなんて本当はないのかもしれない…と、ステージを後にする峯田の背中に呟いた。



渡せなかったラブレターが届く場所!!