test●Yutaka Sato photo●Hiroaki Nakamoto, aco nagata



 

神秘的な唯一無二のロケーションは、時として奇蹟も起こす!?
THE BOOM、小田和正、STARDUST REVUE…三者三様のテアトロンが刻みつけた記憶たち。


 さぬき市野外音楽広場テアトロン。瀬戸内海に突き出た半島の先端にあり、海を背景にライブが楽しめる場所。こんな恵まれたロケーションを持つステージは日本でも珍しいのではないだろうか。そんなテアトロンで、今年は3つの物語が新たに歴史に刻まれた。

●7月9日 THE BOOM CONCERT TOUR 2005 Field of Songs
 降水確率80%――無情にも7月9日は朝からあいにくの雨模様。しかし、それでもファンたちは雨ガッパを着込んで開演を待った。そして開演時刻を5分ほど過ぎた頃、奇蹟は起こった。さっきまでの悪天候がウソのように雨が上がり、太陽が顔をのぞかせたのだ! 開演早々Vo.宮沢和史が「おいおい、雨が上がったよ。信じられないよ!」と興奮気味に言う。3曲目が終わったところでステージ上のテントが次々に搬出された。頭上を遮るものは、もうない。初期のものから最新アルバム「百景」のものまで新旧織り交ぜ演奏される中、宮沢が弾き語りで長渕剛の『順子』を熱唱する場面も! そして『島唄』『berangkat〜ブランカ〜』といったナンバーが続き、『風になりたい』ではサンバに乗って会場はお祭り騒ぎ! アンコールでは『真夏の奇蹟』が演奏された。真夏と呼ぶにはまだちょっと早いにしても、今日の日にもっともふさわしいナンバーだったのではないだろうか。雨上がりのテアトロンは、ピースフルな空気に包まれていた。

7月23日 Kazumasa Oda Tour 2005 “大好きな君に”
 
最上部までほぼ180度びっしりファンで埋まったテアトロン。遠くまで晴れ渡った夏の青空、爽やかな天候…と言うよりむしろ真夏の暑さで開演前から汗だく状態に。そんな中、開演直後に事件は起こった。大ヒット曲『ラブストーリーは突然に』のイントロが始まるやいなや、小田が客席に飛び込んだのだ! 歌いながら客席を縦横無尽に走り回る小田にファンは大騒ぎ。年齢をまったく感じさせないアクティブさである。オフコース時代『さよなら』『Yes-No』から最新アルバム「そうかな」収録の楽曲まで、小田の35年のキャリアから産み出された名曲たちが次々に披露され、そして夕陽はだんだんと沈んでいく。心地よく流れる風と小田の透き通る歌声が相まって、テアトロンは涼しく過ごしやすい夜に。『言葉にできない』では、テアトロンが一気に静まり返った。ピアノと歌、それだけでこの会場すべてを飲み込んでしまうほどの説得力がそこにはあった。このライブがいかに素晴らしいものだったかは、終演後次々に打上げられる花火の下、涙でくしゃくしゃになりながら最高の笑顔をたたえているファンの姿が証明していた。

●7月30日 楽園音楽祭2005 STARDUST REVUE in テアトロン 〜10th ANNIVERSARY!!〜
 今年で10回目を数える記念すべきこの日に、空は味方した。予報では雨だったが、いざフタを開けてみれば快晴。好天の下でライブができる、これがどれだけかけがえのないことか、昨年の無念を経験した人は知っている。17時を過ぎオープニングゲスト(?)の「アラモアナショッピングセンター」が散々笑いを取ったあとは、遂にSTARDUST REVUEの登場だ。Vo.根本がいきなり歌詞をすっ飛ばしてしまうが、そんなトラブルも巧くごまかしてちゃっかり笑いに変えてしまうところこそスタレビの真髄である。中盤ではゲスト・KANが飛び入り。旧知の仲ということもあり相性はバッチリで、『愛は勝つ』では抜群のコーラスワークを聴かせてくれた。「お前らがファンでいてくれてよかった」、アンコールで根本が言った。声が震えていた。昨年は台風の影響ですべてのファンに歌声を届けることができず、その悔しさを抱えたままメンバーは1年を過ごしたのではないか。それにも関わらず今日これほどのファンが集まった。スタレビからの最大限の感謝を受け取り、こちらまで胸が熱くなる。来年も再来年もスタレビの歌で感動したい。お腹を抱えて笑いたい。そしてまた一緒に打上げ花火を見たい。…そう願わずにはいられなかった。