シンガーソング・ルポライターとして、現在活動を続けている緑川伸一の一人ユニット=ミドリカワ書房。日常の中に潜む、フィクションともドキュメンタリーともとれるシニカルな詞世界と、キャッチーでココロにグッと染み込むような良質のメロディーが、聴くもののハートを捉えて放さない。ところで緑川さんは明るいの?暗いの?繊細なの?大胆なの?誰もがきっと抱いているミドリカワ書房というアーティストへの素朴な疑問、ココで晴らします!唯一無二とも言えるミドリカワ・ワールドにいざ、突入!!

text●aco nagata 取材協力●FM香川

●まずはココから、そもそもなぜ【書房】なんでしょう?
ミドリカワ書房(以下:ミ)「前は本名でずっと活動してたんですけど、それでは自分のやりたい事が伝わらないんじゃないかということで。名前を見て、あ、この人何か変わった事をやっているんだ!というのが分かってもらえるように。あとは、僕の歌が結構短編小説みたいだとよく言われていたので、小説といえば本、ミドリカワが経営する本屋さんということでミドリカワ書房と」

●ご自身も本が好きなんですか?
ミ「好きなんですけど、きっと皆さんの方が沢山読んでらっしゃると思いますよ。僕、凄く影響されやすいんですよね、ちょっとカジっただけでも感化されちゃって歌に出ちゃうんですよ。太宰治が好きなんですけど、『リンゴガール』(2/22リリースの2nd SG)のカップリングは、太宰の『きりぎりす』っていう短編に影響を受けているんですが、その物語でも売れない画家が、急に売れ始めて人が変わってしまって奥さんが去っていくという話しで…今回僕の作品の中でも、そうだ!漫画家を天狗にしてしまえ!と思いましてね」

●ミドリカワさんの世界観から感じる昔の香りみたいなのは、そういう部分に影響を受けているというのもあるんでしょうか?
ミ「あると思います。音楽で言うと、吉田拓郎さんとか、奥田民生さんとか、斉藤一義さんが好きなんですけど、皆さん歌詞が素敵ですから…僕自身歌詞がよくないといけないなっていうのはずっと抱いていて。小説だったら太宰治、夏目漱石、遠藤周作を一番読んでいますけど」

●だから昭和歌謡のようなイメージを抱くんですね
ミ「昔のそれこそ70年代とかの歌謡曲というか、ヒットソングは全部いい曲だと思ってます。あの時代に生きていたら楽しいだろうなって思うんです。筒美京平さんとか阿久悠さんとかが書いてた詞とか本当にいいなって思うし…でも最近のヒットチャートを聴いても全然いい歌だとは思わないから…やっぱり僕もああいう昔の楽曲みたいなものを作れたらいいなぁと常に思っています」

●いい歌がないから、自分で作りたいと?
ミ「あっ、そうですね、常にそう思っていますよ」

●私がミドリカワさんの存在を知ったのは、『顔2005』で、楽曲のPVを見た時は本当に衝撃的でした。失礼な話、この人は何処へ辿り着こうとしてるんだろう!!って(笑) そのくらい印象が強かったんです。
ミ「(苦笑)…あれはPVも良くできてましたからねー。あのね、もう本当に楽曲を後世に残したいっていう想いがありましてね、100年後も僕の歌を知っている人がいてくれたら嬉しいなぁと思っておるので、その怨念が1曲1曲に詰まっていると思うわけですよ。ココに残っとけってことで!(笑) だからじゃないですかね」

●今回のSG『リンゴガール』も含め、エンターテインメント性ももの凄く感じましたよ。
ミ「娯楽として僕は考えていますから。娯楽たるもの、ドキッとしたり笑えたり、悲しくなったりっていうのはあった方がいいと思うのでね。前回のシングルもそうなんですけど、現実はこうではないだろう…ということで、たまたまストーリーはひどい話になりましたけど、聴き手からしたら、HAPPYだけじゃ面白くないでしょうし」

●ミドリカワさんは、実は熱い人なんですね…
ミ「そうですね、僕プロレスとか格闘技が好きなんで。意外と熱いんですよね。見た目はそんな風に見えないと思いますけども。心の中には本当に熱いものを持っております!」

●今後も、そんな風にミドリカワ流のいい歌を作って行くという事ですね!
ミ「捨てられたくないですから…思い出から。今の音楽って使い捨てのように出ては消えてゆく。切ないですもんね。だから僕は何とかしたいなって思いますけど。心に残る歌を作っていきたいですよ。で、故郷に石碑を立てたいですから!そういう野望はあります」

●いつか、ミドリカワ書房っていう本屋さんがあって、そこに短編集とか作品が並んだら面白いですよね!
ミ「いやいやいや!ないですね。ていうか、東京にできたとしても絶対来ないでしょ!(怒)」

●いやいやいや。絶対に行きますって!(笑)


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