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怒髪天 インタビュー【2】

2018/08/01

怒髪天----interview②
 
 
M5『デッドストックブルーズ』は、デッドストックという言葉をあえて使っているのが良いなと
「行動しないとね、結局宝の持ち腐れじゃないけど、何の使い道も無くなるから。自分が特別だと若い頃って誰しも思いがちだと思うんだけど、自分も含め。ただ、だんだん歳を重ねてくるとそうでもねぇなっていうのはあるし。何かやらないと結局部品も使わないままになっちゃって、デッドストックになるだけだから。行動を起こさないとって事だよね」

M6『初めての旅につき』は、人生は“誰もが始めての旅”っていうのがグッときました
「これは生きてきた中で、あらゆる失敗をした時に、なんで俺はこんなにしくじるんだろうって思った時に、人生は旅って考えたらまぁそりゃ初めてだからな、そりゃ失敗するわなって思うと気持ちが軽くなるというか。お互いそうなんだから、許し合いましょうよって。勘弁してくださいよっていう」

■こういう着眼点にはならなかったなって!あ、そうか、みんな初めてだし失敗するよねって思いました
「自分も許して欲しい代わりに人も許してあげようかなってね(笑)」

■そしてM7『ゴミ集積所ノ破落戸』も凄く風刺が効いていて流石だなと唸っちゃいました
「自分の中にある黒い感情とか、所謂今の成功者と言われている奴らはコンプライアンス的なものも考慮して清廉潔白な姿で立ってるわけじゃない。でも実際はそんな事絶対ないから。後ろにゴミ袋に入れて隠しても結局なんだかんだで暴かれて大変な事になってる奴いっぱいいるじゃん。だから我々はしっかり見てるからなっていう」

■“撒き散らかして あぁ やろうカァ”の“カァ”もまた良いなぁって!最初と最後のギターも!
「カラスっぽいギター入れてって言ったらこうかな?って友康がやってたね。友康のイメージのカラスが鳴いてる感じだよね。カラスがいっつも家のゴミ袋破ってたんだよね。こんな散らかすなよって!(笑)」

M81999GT-O』は何の略なんですか?
これは『ノストラダムスの大予言』っていう本が子供の頃に出て、その著者が五島勉っていうんだよ。五島(GT-O)この野郎!っていう曲だから(笑)あいつがあんな翻訳で本出したもんだから。まだその事何十年も引きずってんのかってね。みんな世界が終わるんだろうなって思ってたけど普通に除夜の鐘鳴ったもんね。どうすんだおいこれからっていうね」

GTO=五島だったとは…!(笑)完全にGreat Teacher Onizukaかと!(笑)ここには“バカガミル ブタノケツ”って入ってて…
「これもロックマジックだよね。なんとなく格好良く聴こえるっていう。普通に格好良いシャウトなんだけど意味知ったら馬鹿馬鹿しくなるっていうね。完全に小学生の煽り言葉だからね。ここはもう五島のセリフだから。五島が俺らに言ってるっていう。予言が外れてほっとした半分、がっくりしたよね。これに今近いのが、人生100年って言われてる事だね。まだ半分あんのか!?って。中々衝撃だよね。早く死にたいわけじゃないけど長いなって」

■そしてアルバムの最後を締めくくる『希望丸より愛をこめて』。これがもう泥舟っていうのが凄いなと
「自分たちで作って歌ってる時も泣きそうになる曲でね。誰しも人生は必ず終わるから泥舟ではあるんだけど。切ないよね、沈み行く舟に希望丸って名前を付けてる時点でもう。希望丸って何かと言うと自分の人生、人間関係だったり、舟から降りていく奴らを笑顔で見送ったり自分から離れていく人間もそうだし。バンドも、そうだし、会社も、日本という国でもそうだし。色んなものを意味してるんだけど。結局それでも行くしかねぇんだっていう。それでも本人は舳先で明日を指差してるわけだから。その向こうに大嵐が来てるっていうのに。そのドンキホーテ感というかさ、それが生きる道というかね」

■この曲を聴いて、『俺達は明日を撃つ!』が出てきて。その時は撃ってたけど、『希望丸より愛をこめて』では指で差してるじゃないですか。そこの進化も感じて
「より悲壮感が出てきたよね(笑)例えばライブをやっていく中で、新譜が出て次のツアーは新譜が中心になっていくわけじゃない。だけど2040代で作った曲で同じラインに並ぶ曲もあって。それをセットリストに並べていくと、相乗効果で両方の曲が際立つというか。気持ちの成長や移り変わりも分かるし。これは長くやってきたバンドのメリットだなと思うね。ただがむしゃらにいけ!やるしかないんだ!って思ってた頃もあった。だけどそれだけじゃないって事もだんだん分かってきて曲を作っていくわけだから。ただやっぱり本当に思うのは、歳を重ねて5月で全員50代になったけど、レイドバックするような渋い感じにはなりたく無いんだよね。それって楽だと思うんだよね。そういう事じゃなくて、より激しくというか、怒り収まらずじゃないけど。大人になりゃ落ち着くってもんじゃねぇぞって事だね(笑)」

■こういう大人が居てくれるからこそ、まだやれるなって思える事が凄くあって。泥舟だけど結局は希望を感じるというか。明日の有り無しは分からないけどそれでも前へ進まなきゃいけない感とか。なんと素晴らしいアルバムでしょうかって…
「ありがとうございます。それでも行かざるを得ないというね。いずれ沈むにしても信じてるから行くんだよね」

■楽曲自体も元々色んな曲パターンは得意だと思うんですけど、さらに自由度が増してますよね
「それぞれの曲はそれぞれの方向で更に進化した感じになってるよね。友康が作る曲が本当に幅広いから。昔から色んなタイプの曲を作ってたんだけど、それを俺が消化できなかったのもあって。それがだんだんこれも有りかな?って色々とやり方が分かってきたというか。柔らかい感じの曲調に、ハードな曲以上にヘビーな歌詞を乗っけたら面白かったとか。だからより色んな曲が作れるようになったね」

■そこが怒髪天のオリジナリティになってきてるんですかね?
「そうだろうね。他のバンドはやらないというか、出来ないだろうね」

■ハードコアもあるしフォークにスカにレゲエに・・・でもやっぱり基本はロックなんですよね!あ、坂詰さんのドラムロールも。あれ、凄い嬉しくなるんですよ(笑)
「坂さんも色んな事やらされてるからね。ドラムロールも明日までにここまで練習してきてって言われたらちゃんとやってくるのに、いざやったらちょっとうるさいからやっぱり無しでってなったりね(笑)」

■(笑)大枠は友康さんが考えるんですか?
「そうだね。でもフレーズはそれぞれに考えて来てっていう。要所要所でここはこうして欲しいっていうのはあるけどね。坂さんとか自由にやらせると毎回違うから(笑)シミが前の日のドラムに合わせてベース考えてきたのに、合わせたらなんか昨日と違うなぁと思って坂さんに聞いたら、“いや、いいかなと思って”って(笑)良くねぇって!変える事は駄目じゃないんだから言ってって!」

■(笑)ツアー中にもそんな事はよくあるんですか?
「あるよ。ライブ中に“失敗しました”って言ってくることもある(笑)なんか空間が歪む時があるんだよな。ただやっぱり長年坂さんと一緒にやってきてるから、色んなセッションとかで上手いドラムともやったりもするけど、やっぱり坂さんのドラムに慣らされてるというか。あのドラムがやっぱり一番歌いやすいんだよなぁ。他のドラムは上手けりゃ上手いほどかっちりし過ぎて揺れが無いというかさ。そんなに美人じゃなけど、やっぱりうちの母ちゃんが良いなっていう、それと同じ(笑)」

■長年やってこられたからこそですよね。ここまでメンバーチェンジもなくこの4人でまたこの音を作り出せるっていうのは素晴らしい事だと思うんですけど、今4人の関係性はどうなんですか?
「確かにね。音楽的な事に関しては、友康に3人は全幅の信頼を寄せてるから。友康が居ないとバンドとして成り立たなかったと思うから、そこはバランス良いよね。俺は歌詞は書くけど曲を作るわけじゃないから、完全に分業だからね」

■そこが凄いですよね。友康さんが思ってるのとは違う歌詞が乗ったりする事もあるじゃないですか
「それは面白がってるね。逆に俺もそうだし。お互いに寄り添う部分もあれば、裏切っていく部分もあるし。友康が作った曲に俺が裏をかいた歌詞を付けると、次はアレンジでそこに合わせてくるからまた面白いんだよね。こうして欲しいっていうのがもう今では言わなくても分かるっていう。78年前かな?レコーディングでは曲から練習するじゃない?練習してる間って俺は歌詞付ける段階だからほとんど自宅作業なわけ。でも1日置きぐらいにスタジオに行って曲の仕上がりを聴いてるんだけど。前はいつも行って、ここはこうの方が良いんじゃない?って言ってたんだけど。その時に“まだ作ってる最中だから完成するまで言わないで”って言われて。で、出来た曲を持って帰って聴いたんだけど、ここちょっとこうした方がいいかなっていうのが何箇所かあって。次の日行ったら、それが全部直ってたんだよ!何も言ってないのに。凄いねって。俺が言いそうな事が全部分かってて。そこからはもう何もほぼ言わないよね」

■それだけ疎通が取れて、他者が作ったものが一つになるって凄い事ですよね
「ミラクルが起こるというかね!だからバンドって面白いよね。どんどん更にそれが出来るようになってるね。アルバムの全体像っていうのが、友康だけが分かってるんだけど。俺ら3人はどういう風になるか分からない状態から、だんだん出来ていくのを目の当たりにするのが毎回楽しくて!おぉ、ここはこうなったか、なるほどなって毎回なるんだよ。予想した以上にきちんとまとまるんだよね。それが凄いなと」

■今回のアルバム制作も制作は早かったですか?
「そうだね。いつも早いけど、同じように早かったね。歌を乗っけた事によって変わってくる曲もあるから。レゲエになる予定だった曲も、俺が前でリズムをとっちゃうから河内音頭みたいになっちゃってね(笑)これはもう日本人特有のもんだからしょうがないなって。これはこれで味なのかってね」

■増子さんにはずっとそのままで居て欲しいです(笑)
「ラップなんか絶対無理だって事も分かったから。何年も前から何回もラップに挑戦してみるものの、全部河内音頭みたいになっちゃうからね」

■アルバムタイトルですが、『夷曲一揆』の夷曲(ひなぶり)っていう言葉が分からなかったんです
「タイトルを付ける時に、“夷”って言葉をずっと使いたかったから、調べてたら“夷曲”っていうのは昔の和歌とか、田舎から出てきたやつが作った詩であったり、故郷を想って作った詩というもので。田舎もんが起こすレボリューション的なものというか。レボリューションというと俺ららしくないから、規模感的に村ぐらいかなという事で一揆だなと!」

■タイトルもですけど、ジャケット写真も衝撃的で!ふんどしで来たかと(笑)
「ただ事じゃないよね(笑)でもこのジャケットはもちろんメンバーじゃないからね。坂さんが俺やっても良いですよって言ったんだけど、とてもお見せ出来るような身体じゃなかったから(笑)絵に描いたようなだらしなさで。これはいかんという事で、ふんどしが似合うゲストを呼ぼうと」

■それが三宅弘城さん(グループ魂の石鹸)!
「そう!石鹸!」

■これを20代とかのギャルに買って欲しいですね
「ブックレットとかでは坂さんと並んでるから面白い対比だよ(笑)」

■アルバムを引っ提げてのツアー『一揆一友TOUR ~権べ&田吾~』も10月に予定されてますね。権べ&田吾って調べた所によるとゲームの名前だとか
「ファミコンの一揆のゲーム。本当クソゲーで。めちゃくちゃ難しいんだよねあれ。アホみたいなビジュアルなのに難しいんだよ。知る人ぞ知るゲームだよね」

■四国は10/8(月・祝)高松と10/9(火)松山ですね!
「涼しくなってからだね。ライブで聴くと更に曲が成長していくから」

■来年は35周年ですね。楽しみにしております!
「なるべく周年はやっておかないとね。物理的にあと何回出来るか分からないからね。何か楽しい事が出来ればと思うね!」

■最後にメッセージを!
「本当に今言いたい事、感じてる事っていうのは俺だけじゃないと思うんだよね。同じ時代を生きてるみんなが思ってる事を全部曲にがっつり、変に曲げないでそのまま入ってる。一杯引っかけてライブ観ると最高に楽しいと思うから。是非とも来て欲しいね!ロックバンドってどんなものなのかもう一回知るきっかけになってくれればいいと思うし、ロックを聴かないっていう人にこそ聴いて欲しいかな。ちょっとジャケットもアー写も凄いけど(笑)あとアルバムの初回盤には『カムバック・サーモン TOUR 2018』のDVDが付いてんだけど、これがすげぇ面白いから。この間のツアーの北海道でそれぞれの出身地を回るドキュメンタリーで。それぞれのちょっとしたインタビューも入ってんだけど、もう酷い!(笑)最終的に何も答えてないなってのばっかりだから」
 
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