SANUKI ROCK COLOSSEUM 3/15(土) LIVE REPORT
2025/04/23
3/15(土) -------- LIVE REPORT
Text:鈴木淳史 photo:吉田大右、アミノン
◎初日朝10時には既にリストベルト交換で大人数の観客たちが商店街内に長い長い大行列を作っている。今年は例年出演者たちに食事替わりに支給される商店街で使えるクーポン券もチケット購入者の一部の方に特典として配布された。朝11時、商店街内に特設されたFM香川ステージでの公開生放送『サヌキロックレディオ2025』で、地元高松在住の古墳シスターズメンバーにより開幕のカウントダウンが行なわれてスタート!
古墳シスターズ
前日には高松市ふるさと納税の返礼品として、『ことでん』の車両内でワンマンライブというけったいに素敵なライブをしたばかりだが、早速翌日朝一番から、この働き。ボーカルの松山は楽屋テントで喉に良いらしい林檎を2個も丸かじりしている。今年は初日に発起人の四星球が不在の為、開幕カウントダウンなどの大役を担当する事について、話を振ると、『代役ですよ』と謙虚に話す。だが、商店街内には、古墳が商店街で撮影された写真にHOMETOWN ARTISTとデザインされた大きな大きな横断幕が掲げられている。それでも、松山は『(四星球不在は)プレッシャーじゃないです。伸び伸びしています!』と笑いながらも、例年12時からオリーブホールで四星球がライブする時間帯も古墳が今年は担当な為、『(観客たちに)起きてもらわないとですね!』と気合いを入れる。
その言葉通り、リハーサルから景気づけとばかりに速い曲をぶちかましていく。本番も1曲目から人気曲『ベイビーベイビーベイビー』をぶちかましていくし、自慢の街である地元香川を背負っている事が伝わってくる。四星球が不在な事も説明した上での、『申し訳ないけど堂々とやらせてもらいます!』という決意表明には、SANUKI新時代の幕開けを感じざるを得なかった。全てを出し切ったライブだったのに、12時35分には既にFM香川ステージに松山は移動していたので、流石に背負い過ぎだろうと想いつつも、その気概は嬉しかった。ちなみに、このステージでは松山を交えて、FM香川で4月から新番組『四国音楽百鬼夜行〜モンバスへんろ道〜』がスタートする事が発表された。この番組は、DJ鍛治匠&DUKE定家氏が、中四国最大級の野外ロックフェスとして親しまれ、去年25周年を迎えた『MONSTER baSH』(以下、『モンバス』)を盛り上げていく内容でもある。その場で今後、古墳インタビューが放送される事も松山に告げられていた。
初っ端から賑やかだが、商店街内では、QRコードをたどっていくスタンプラリーやSANUKIとのコラボメニュー、入場リストベルト着用で使える割引メニューなどを目当てに集まる観客たちも目立った。古墳のメンバーたちも、またもや13時半にはFM香川ステージで、商店街内の花屋『カタリ』とのコラボで苔などを器に飾りながら製作する古墳づくりをと、地元四国ホストバンドとして大忙し。文章では中々伝わりづらい古墳づくりなど、イベントコラボ企画は本当に数多く、商店街一丸としてSANUKIを盛り上げようとしているのが伝わる。余談だが、古墳のベース小幡は、この日が30歳の誕生日であり、バースデーケーキと花束のプレゼントが贈られた。もちろん花束は『カタリ』のもの、ケーキは人気フルーツパーラーの『三びきの子ぶた』のものと、地産地消なのも良い。もっと余談だが、地元民は『三びきの子ぶた』を『三ぶた』と呼んでいるのも、何だか微笑ましかった。
ズーカラデル / らそんぶる
インナージャーニー / 3markets[ ]
普段、東京を拠点に活躍するバンドたちを一気に高松で観れてしまうのもSANUKIの素晴らしいところだが、festhalle14時20分のズーカラデルも、その筆頭である。ボーカルの吉田が開口一番、『この商店街が今日一番格好良いと想います!』と言ったり、その後も『こんな格好良い街で、こんな格好良い寄り合いがある!』と言っていたが、全国各地たくさんのフェスやイベントがあり、その多くに出場するバンドがSANUKIの特性を理解した上でライブを魅せる誠意が、地元民では無い私でさえ、とてもとても喜ばしかった。TOONICE15時30分では、らそんぶるが初出場。一番コンパクトなライブハウスであり、ステージとフロアの目線もほぼ同じなので、よりダイレクトにライブが飛び込んでくる。初出場組はTOONICEの印象がある為、年々動員を増やして大きなライブハウスへと進出していくのを見届けるのもひとつの楽しみ。そういう意味では、SANUKIでは無いが、去年8月にTOONICEでのイベント出演経験のあるインナージャーニーはDIME16時に出場。この短期間で高松に来れたという喜び嬉しさ楽しさがライブに表現されていたし、フロアも気付くと観客で一杯であり、その反響具合にボーカルのカモシタも『音楽を続けていて良かったなと! また、いっぱい良い曲を作って、また、ここに来れるように!』と応える。らそんぶる、インナージャーニーよりキャリアがあるバンドではあるが、3markets[ ]もボーカルのカザマによる『俺は今日みんなにとっての瀬戸大橋になれただろうか?!』という言葉も印象に残った。四国名物をユーモアに引用しながらも、音楽を架け橋として、東京から高松に心を込めて訪れている事が感じられた。
ポルカドットスティングレイ
早いもので時刻も18時40分。終盤である。festhalleではポルカドットスティングレイが登場。ボーカルの雫は、リハーサルから『かかってこいよ! 高松!』と煽っていく。流石、日本武道館ワンマンライブを経験しているバンドだけに、そのスケール感の大きさを感じられたし、それを高松のライブハウスで感じられるのは、四国のライブキッズにとっても幸せな体験であろう。
セックスマシーン!!
同じ時間帯、瓦町駅地下広場では神戸のセックスマシーン!!がライブをしているはずが、ボーカル森田の姿は何と地下広場から地上に上がった交差点に!! 世界一長いとも言われる約50メートルのマイクケーブルを駆使する森田は、信号待ちをしているSANUKIの観客であるライブキッズに何かを訴えている。また、これ愉快な事に、この模様はまるでラジオ実況生中継の様に地下広場にいる観客たちにもマイクを通して丸聴こえ。一般の市民の方も不思議そうに観ているが、良い意味で当たり前の様に観てくれているのも、それだけSANUKIが高松の春の風物詩として浸透している証拠であろう。森田も騒音や騒動にならぬ様に細心の注意をしながら、パンキッシュにロックンロールしている姿が頼もしかった。
ハク。
遂に各会場トリであるメインアクトの登場。MONSTERには大阪のハク。が登場。去年はTOONICEで初出場であっただけに、この1年での世界的にも注目されている活躍が見事に現れた今年の出番。可愛らしい4人の少女たちがポップでキャッチ―な音を鳴らすが、ライブハウス特有のエッジが立ったイカツイ歪みの音も鳴らしていて、その見た目と音像のギャップが素晴らしくて堪らなかった…。春の東名阪ツアーを全会場ソールドアウトしているだけに、ボーカルのあいの『高松はサーキット以外で来た事が無いので、これからも来れる様に頑張ります』という言葉は、今後の高松ワンマンも想像させられてワクワクした。
LONGMAN
瓦町駅地下広場19時45分、ある意味、初日の大トリとも言えるのは、古墳と共に地元四国ホストバンドとして動き回ったのが愛媛出身のLONGMAN。地下へと下る地上付近で既にドラムの荒々しい音が響き渡ってきていて、地下に向かう前からドキドキする。SANUKI初出場は10年前であり、その時の場所が、この地下広場のため、ボーカルのHIRAIは『これだけは言わせて下さい! ただいま!』とひとこと。『流石に10年前は超えたんじゃないですか?! もうちょっと超えようか!』という言葉も良かったし、『これが四国のパンクロックだ!』という言葉は矜持でしか無かった。個人的には『セックスマシーン!!より良いライブして帰るぞ!』という言葉も、先輩と切磋琢磨する姿勢が堪らなく格好良かった。こうして初日は、発起人の四星球不在の中、古墳シスターズとLONGMANという地元四国バンドが見事に先輩の留守を預かりながらも、自分たちのパワーを充分に発揮させた幸先良すぎるスタートとなった。