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SANUKI ROCK COLOSSEUM 3/16(日) LIVE REPORT

2025/04/23

3/16(日)  --------  LIVE REPORT
Text:鈴木淳史    photo:吉田大右、アミノン


2日目昼12時オリーブホール。発起人の四星球が遂に登場。前日深夜に石垣島でのライブから四国へと帰ってきて、朝8時からリハーサルをしていたという。そのタフさに驚くとともに、メンバー全員40代になろうとしているので大変さも重々承知だが、やはり、この祭には四星球が必要だ。既にリハーサルを終えているから、そこまでリハーサルは要らないはずなのに、観客たちの声援に応えて多めにやってくれるサービスっぷり。中四国地元民にはお馴染みのスーパーマルナカの歌も披露。以前にもSANUKIで聴いた事があるものの、まだ実際には本物を聴いた事が無いが、中四国に来ているのだなと変に実感して興奮してしまう。そして、前日も各会場で観客満杯状態を観てきていたものの、この四星球での超満杯状態に四国を長年背負ってきているだけの事はあると早くも感動してしまった。


四星球


気が付くと北島康雄にソックリとも言われている謎のヒーローちょんまげマンがSANUKI主催者を名乗って歌い続けており、あれもしかして、このままちょんまげマンで終わるのかと不安になったところで北島が登場。代表曲『クラーク博士と僕』は、ちょんまげマンには歌わせないというスタンスなのだが、ヒーロー以上に本物のヒーローが出現してくれた気持ちになれて、観客みんな誠にハッピーな表情をしている。
北島は、観客みんなが楽しんでくれたら、バンドマンは単純だから、また高松に行こうかな、四国も周ろうかなとなるので、みなさんが楽しめば楽しむほど西のライブハウスは潰れずに済むと語りかける。常にライブハウスの事を第一に考えているし、『この商店街で、このアーケードでお買い物をして下さい!』という言葉も沁みた。これぞ真の街おこし。なのに上半身裸でブリーフな姿なのも落差がありすぎる…。大黒摩季楽曲が使用された事もあり、『裸裸裸(ららら)』という大オチもおあとがよろしすぎた。



八生


余韻に浸りながらオリーブホールを出て、FM香川ステージに近づいてくると、『しゅらばんばん』という力強い弾き語りの歌声が聴こえてくる。高知出身で高知在住のシンガーソングライター八生。その後、15時45分の地下広場ではバンド編成で再登場。同じ『しゅらばんばん』でもバンドサウンドの重厚さが味わえるので、一粒で二度美味しいでは無いが、ふたつの良さを体感出来て得した気分になれる。去年はひとりでの出場だっただけに、今年のバンドを率いての出場には成長を感じた。まっすぐ良い歌から可愛らしい歌やエモーショナルな歌など、あらゆる歌を堪能できた。四国出身のミュージシャンを一押しするのは、四国のイベントならでは。デビューしたばかりである若手な彼女だが、今後より全国へ羽ばたく予感がした。




からあげ弁当 / 帝国喫茶
超能力戦士ドリアン / muque


初日のハク。ではないが、この2日目も大阪を拠点にするバンドたちも大活躍した。12時45分の地下広場では、初出場のからあげ弁当。初出場だけあって、その気合いはみなぎりまくっている。『チキン野郎』を何度歌うのかというくらいに、何度も何度も畳みかけて歌う。しまいには観客だけでは無く、明らかに関係者の大人の方までもが笑顔で体を揺らして応援している。巻き込む力の初々しさと衝動を感じた良いライブであった。2年ぶり2度目となる帝国喫茶は17時40分オリーブホールに登場。ツアーでも香川を訪れているため、FM香川ステージのトークコーナーに呼ばれるなど四国から愛されている事がわかる。直後にリリースを控えたニューアルバムからの楽曲を後半畳みかけていたのも、今の帝国喫茶を四国で魅せたいという気持ちが届いた。ライブでは初披露となるニューアルバムからの『ビフォア・サンライズ』で〆たのも心意気を感じた。同じ時間帯のfesthalleには、超能力戦士ドリアンも登場。その前にはFM香川ステージで四星球と共にトークを行なっていたが、数年ぶり出場なだけで、北島から『干されていた?!』と絡まれて、それだけで大盛り上がり。西のバンド特有の絡みであり盛り上がりだが、本番リハーサルでも何故か北島が登場して、『お客さん少な!』とイジるだけで大盛り上がり。ドリアンの名誉の為に書きますが、あくまでリハーサル時の観客人数であり、本番では大盛況。同じ西という事もあるのか、関西のバンドは四国との相性が本当に良い。
同じ西で言うと福岡在住のmuqueは高松でのライブは2回目であり、SANUKIは初出場。そんな事は想わせないくらいにオリーブホールはヤングライブキッズで埋め尽くされている。軽快なダンサンブルなサウンドで心身ともに踊ってしまう。考えてみれば、初出場がオリーブホールなのは凄く認知度がある事であり、来年以降のSANUKIでは、どの会場で観る事が出来るのかと期待が募ってしまう。





松本アタル


SUMUS caféは弾き語りのミュージシャンによる演奏を楽しめるが、17時30分には普段は東京を拠点にハシリコミーズとしてバンド活動するボーカルの松本アタルがひとりで登場。初四国でのライブではあるが、リハーサルから場を掌握する独特の華は圧倒的であった。アコギでの弾き語りとはいえ、アタルの歌声が聴こえてきただけで一発OKと想わせられる凄み。余談だが、共演経験のある四星球の北島も普通に観客として観に来ていたし、個人的にも今後のSANUKIやモンバスなど四国の多くの場で観たいと心から願ってしまった。




Hump Back


時刻は、あっという間に19時45分。この日の最大の目玉と言っても過言では無いW大トリ。瓦町駅地下広場の四星球とfesthalleのHump Back。ライブ活動を復帰したばかりのHump Backを一目見ようとリハーサルから、とんでもなく多くの観客が詰めかける。1分前までリハーサルで盛り上げまくり、そのままメンバーはステージに残る。そして、本番時間になり、ボーカルの林萌々子は、自分たちをSANUKIやモンバスに引っこ抜いて呼んでくれたDUKEスタッフが辞めてしまう事を明かす。そのスタッフが出逢った時から好きだと言ってくれていた『チープマンデー』から始まる粋な曲順…。リハーサルの大盛り上がりの雰囲気とは一転したミディアムナンバーだが、メンバーが心を込めて説明して心を込めて歌うので、観客たちは一気に心を掴まれてしまう。バンド側の恩義と仁義を感じるしか無かった。『これがウチらからの餞や!』という言葉に全てが表れていた。だからこそ、そこからの人気曲『拝啓、少年よ』などが、より観客たちの心に沁みたのであろう。




四星球


そんなライブ活動復帰したばかりの彼女たちについて、丸被りの時間帯とはいえ丁寧に温かく触れるなど、ホストバンドとして全体的な盛り上がりを常に感じさせてくれていたのは四星球。こちらもリハーサルから、とんでもなく観客たちが集まっていたし、よくよく考えると、ここがフリー観覧という日常でも使われているという場所だというのも凄い。DUKEスタッフ皆様のお力もあるが、観客たちと市民たちが何の問題も無く共存して暮らして生きているバランスの奇跡は兎にも角にも美しかった。DUKEスタッフがHump Backライブ終わりの観客の為に、『四星球まだやっています』的な内容のチラシを準備していたのも何とも言えず愛おしかった。

北島は瓦町駅地下広場での6年ぶり復活ライブを祝い、『ここからは香川の祭です!』と話す。今年は、あなぶきアリーナ香川がオープンしたという流れから、昼のライブと同じく、そこの支配人としてちょんまげマンがまたもや登場! ちょんまげマンは、先程は歌えなかった『クラーク博士と僕』を少しだけ歌い、『いつかは、あなぶきアリーナで歌おうぜ!』と叫ぶ。四国のバンドが四国のアリーナで歌う事に大きな大きな意味があるし、イベントやフェスやアリーナなど、四国の音楽シーンが確実に成熟しているのが伝わってくる。また、北島は、いつか若い四国の良いバンドがたくさん出てきて、四星球がSANUKIやモンバスに出れなくなったら、今までやってきた甲斐があるので四国バンドを宜しくお願いしますと頭を下げる。ここで昼にも言っていたDUKEへの愛ある暴言ジョークも出たが、昼ライブレポートでも特に触れなかったので、ここでも割愛します! そうは言いつつもDUKE始めスタッフへの愛と感謝を忘れない北島は、スタッフ補佐で手伝う専門学校生まで紹介して、その彼が明日迎える19歳誕生日までイチゴを食べさせて祝い労うスタッフファーストな徹底ぶり。何を観させられているんだろうとは思いつつも、こういう何気ない愉快な場面から観客はライブが多くの人から成り立つ事も知れるのだろう。



アンコールでは来年がfesthalleオープン10周年なのも祝い、観客フロアで観客10人による10回大縄跳びに挑戦! 最後は観客の上に乗りながら天井付近にある溝の埃を指で掃除しながら、『これがSANUKIROCKの誇りや!』と言い放つ。誇りからの埃って…、それもその場で浮かんだ言葉に違いないのに、本気の想いが驚くくらいに込められている。あまりの天晴れさに言葉が出ない…。8月にはオリーブホールとTOONICEの2会場で、四星球主催ライブサーキットイベントも改めて発表された。


最後の最後は出場バンドマンが全てステージ上に集められて、謎の19歳専門学校生のお誕生日お祝い胴上げ!? こうしてこうしてSANUKIの長い長い2日間は終わった。にしても、四国の音楽シーンは最近とても祝い事が多い。それを言うならば主催のDUKEも50周年。その上で、四国の音楽シーンを牽引する四星球で四国のイベントが〆られるのは何よりも胸を打つ。当たり前だが、どのイベントも街で開催されるものの、商店街ぐるみで開催されるイベントはSANUKIだけと言って間違いでは無い。これからも永遠に四国の稀有な祭であり続けて欲しい。

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