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森恵 インタビュー【2】

2018/05/01

森恵----interview②
 
 
■タイトルにもなっている1985年というのは、歌謡曲の黄金時代というか、色んな曲がひしめき合っている輝かしい時代だったと思うんですが、私はこの森さんの作品を聴いた時に、その歌謡曲の集大成のような良さを感じたんですよね…
「なるほど。もちろん生まれた年なのでリアルタイムでは分からなかったですけど、本当に歌そのものが持つ世界観が強い、パワーのある曲が溢れていたと思うんですよね。そこの時代に戻るのは意味がないと思うんですけど、そういう音楽の持つ輝きやパワーはアーティストが作っていくしかないと思うので、森恵がそういうもの残したいというか。年代を聞くとあの時森恵ってこんな曲を歌っていたよね!って思い返してもらえるような、色んな歌を歌っていけたらいいなと。なので、80年代に対するオマージュを込めた曲もあったりして、この時代の歌が持つ力っていうものには影響を受けていると思います」

■特に詞の世界観っていうものに関しては、力を注がれているというか。分かりやすい世界感なんですけど、印象的な言葉やフレーズが多く読んでいても楽しめました
「そうですね、そこは凄く意識した部分ですね」

■作詞に松井五郎さんが関わっているという事も凄く大きいんでしょうか?
「凄く大きいと思います。歌詞の世界観を深めたいっていうのは最初から思っていて、そこで最初に思い浮かんだのが松井五郎さんで。いつも親身になって色々相談を聞いて下さるんですけど、私がいつも松井さんに対して言っているのは言葉の魔法使いだなって(笑)」

■心からそう思いますね…(笑)
「私がこういう世界観を表したい!という気持ちを汲み取るのも表現するのも長けているというか…今回の作品作りにおいて重要な歌詞っていうものを相談させて頂きました。あとは自分の視覚でしかない部分からどう世界を見るかっていう、“視点”っていうのが凄く勉強になりましたね。視点が見えたとしてもどう言葉にするのかっていうのがまた凄く難しくて…そこは松井さんが色んな視点で世界を見て積み重ねて来たからこそ生み出せる言葉というか。これから自分がどういう言葉を紡いでいくかっていうのは、その視点にかかっているなと。生かしていかなきゃなと思います」

■アルバム全体を通して感じたのは“今を一生懸命に生きてる人の歌”だなと
「新しい作品を出すっていう事は自分の足跡を残して行く事だと思うんです。私がもし死んだとしても、ずっと曲は残り続けていくので。その残った時にずっと聴いていきたいと思ってもらえる曲を残していきたい。そういう思いで楽曲を書いているので、きっとそういう部分が自然と出たのかなぁと思いますね」

■サウンド感は凄くフォーキーでロックな感じですよね。アルバム全体もそういう印象でした
「最初から漠然とロックのテイストが強いものにしたいというのがありました。それはライブを凄く意識していたからだと思うんですが、前回の作品はミディアムフォークが多くて、そういう曲をライブアレンジしていく際にもテンポを少し上げて、ロックテイストを加えたりする事もあったので、だったら最初からライブ感が強いものを集めても絶対楽しめるんじゃないかなと。レコーディングメンバーが、ツアーのサポートメンバーということもとても大きくて、このメンバーとライブをやるんだったらこういう方向でいきたいなと明確に自分の中であったので作りやすかったです。ロックでライブでどれだけ皆とテンション高めて楽しめるか?っていうイメージです」

■なるほど…私は歌謡曲ドンピシャ世代なので、一曲目からかなりテンション上がりました(笑)
「嬉しいです。私は決してドンピシャ世代ではないんですけど(笑)回り回って今こういう歌謡曲テイストなものが若い世代には新しいんじゃないかなと。触れてない音楽のジャンルなんじゃないかと思いますね。意識して作ったわけではないんですけど、それが森恵らしさだと思うし、それこそ今まで吸収してきた音楽をプラスすれば、私なりのサウンド感が生まれるのかなと」

■さて、今回の作品にはゲストミュージシャン(斎藤誠氏・小倉博和氏・村田陽一氏)を迎えてそれぞれ制作された楽曲が3曲あって、実は名曲のオマージュも多く隠されていているんですよね!私は夜な夜なこれを聴きながらずーっと考えていたんですが…
「そうなんです。分かりました?!(笑)」

■結論から言うと…分かったような、分からないような…(笑)
「これは答えを聴いちゃうときっとなるほど!と思うんですが、もしかしたら凄く難しいかもですね…(笑)」
※私は答えを聞いてしまいましたが、読者の皆さんはぜひ答え探しをお楽しみ下さい!

■ゲストミュージシャンとの繋がりというか、今回のコラボにあたってどういう経緯があったんでしょうか?
「村田さんは、村田さんの方からご連絡を頂いて…森さんの歌が凄く好きだから何か一緒にお仕事ができるといいですね!って。それが丁度レコーディングを始めた頃で、M②『確信犯』には絶対ブラスの音が合うなと思っていたところだったんです。だからこれはもう絶対運命だなと!(笑)M⑬『この街のどこか』の小倉さんとは前にカバーの作品でレコーディングをお願いした事があってその時からのご縁でなんですが、緻密な音作りに関してはもうこの方しかいないなと。M⑭『愛のかたち』斎藤さんとはラジオがきっかけで面識がありました。その番組のセッションで歌わせて頂いた時の歌を重ねていく心地よさっていうのがとても心に残っていて、今回のハモりには誠さんしかいないなと。皆さんの人柄が凄く現れていて素晴らしいコラボになりました。今の私の夢はコラボして頂いた皆さんとぜひライブで同じステージに立ちたいなと…」

■そんな作品たちの中でも特に思い入れの強い曲ってありますか?
「凄く難しいんですけど(笑)しいて言うとM③『いつかのあなた、いつかの私』ですかね。これは私の友達が悩んでいる時期があって、私自身も悩みがあって相談してる時期だったんですが、私の気持ちが落ち着いた事に彼女も悩みがあったことを打ち合てけてくれて。そんな苦しんでいる中でも私を思いやってくれた事にグッと来たので、私も同じくらいあなたの事を想っているよっていう事を伝えたくて。ファンの方も同じで、自分が音楽の中でどれだけ迷っていても、ステージに立ってファンの皆さんの前に立つと皆さんの為に何かしたいなって。自分もファンの方々のお陰で励まされて来たので、そんな皆がもし悩んでいるとしたら、寄り添える曲を作りたいなぁと思ってこの曲を書いたんですよね。何のために歌うかっていう気持ちを忘れない為に書いた曲でもあります」

■綺麗事だけじゃない、理想と現実にもがきながらも前に進もうとするリアルな感情に非常にグッときました
「ありがとうございます。実際自分も苦しいものは苦しいし、悲しいものは悲しいんですよね。だからこの気持ちをただ分かってくれたら凄く楽になるというか。解決はしないけど、受け止めてくれる歌があってもいいのかなって」

■また間奏で響く泣きのエレキが効きますよねぇ
「そうなんですよ。実際私はレコーディングの時ちょっと泣いちゃったんですよね。エレキフレーズを聴きながら泣いたのは初めてです」

■あと今回の作品には2曲ほどインストがありますが…
「曲のタイトルは単純にギターの型番になっているんです。自分の歌はやっぱりギターと共に作って来たので、その相棒たちの声を単純に残したかったという感じです。【M-D18】はインディーズの頃に買ったマーチンのギターで、アイリッシュっぽい弾き方で弾いて来たので、そういう雰囲気でレコーディングをしてみました。【M-OO18】は去年の夏くらいから弾き始めたギターで、アルペジオに適したギターなんですけど、2音重ねて繊細な響きを生かしたサウンドにしてみました。特に【M-D18】はこのギターと共に何度も全国を回って激しい曲も優しい曲も沢山弾いて来ました。だから今までの私のギター人生をぎゅっと詰め込んだようなイメージですね」

■改めてこの素晴らしい作品を引っ提げて、ツアーも決まっていますが、バンドツアーの後はアコースティックツアーで四国に!
「今回弾き語りで四国に来るんですけど、アルバムをまたセルフ・プロデュースしてリアレンジして来るので。そんな違いをぜひ楽しみに来て頂けたらと思います。弾き語りでしかできないサウンドにも注目して欲しいですね」
 
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