1. DUKEオフィシャル

よくあるご質問

稲川淳二 インタビュー【2】

2018/07/02

稲川淳二----interview②
 
 
■少し話しを本題に戻すんですが、今回は特にコンセプトやテーマを設けずに、過去に拾い集めて来た話の破片を再度見直すという事に時間を費やされたようですが…
「毎回そうではあるんですよ。ただね、話ってね、このまま面白そうだからってまとめちゃってもいいんですよ。でも全部実話を並べて羅列するだけだったら面白くも怖くもないんですよ。でも暗闇の中にずーっと居ると段々と怖くなってくるみたいに、しばらくそのままにして置いておくと徐々にその状況が見えて来る時があるんですね。そんな時にたまたま近くから同じような話の破片が見つかる。待てよ、これ繋がるんじゃないか?!って思って繋がったらこっちのもんなんです。あとはそれを仕上げていく。私はその過程が心霊探訪だなと思うわけなんです。そういう意味で言うと今年は時代背景だったり話の起伏が上手く繋ぎ合わさって出来ているように思いますねぇ、ええ。例えば実際の恐竜を見た事がある人なんて一人も居ないじゃない?でもあれは発掘された骨や化石からこういう形状をしていたんじゃないか?って推理していくわけなんですよね。怪談も同じで拾い集めた破片から、より真実に近い形を探っていく。ある意味非常に科学的な怪談ですよね」

■ほほう…
「でもね、怪談ってちっとも気取る事なんてないんですよね。本当に色んな世代の人が見に来てくれて。まさに家庭料理みたいなもんですよね。一杯しか食べない店屋物は味が濃いけども、家庭料理はお代わりするじゃない?そんな感じでもって話を5つも6つもしながらその世界を楽しんで頂く。そのライブが楽しいから皆さん来て下さるのでしょうね。だから今年も怪談爺ぃは待ってますよ。年々年々いい怪談爺ぃになってるかなぁ〜と思って楽しみにしてるんですよね。5060歳じゃまだ今一つ説得力がないですけど、まぁ70歳になれば少しはね。先輩もどんどん減ってきてますし…(笑)」

■それほどまでに続けてらっしゃる事が既に素晴らしいですし、それほどまでに語り尽くせていない怪談話があるのだなと思うとそこも凄いですよね…
「いやぁ〜本当にそうでね。ただもうゴールが以前よりは近くなって来ていますからね(笑)私は怪談は子供の頃から大好きでしたけど、まさか自分がこういう仕事をするとは思ってなかったし、出来た自分が幸せだし、いい出会いがあったからこそですよね。でないとここまで怪談やってないでしょう。人間怠け者だからさ、遊びの方が好きなんだもの。でも怪談だと何より面白くて夢中になっちゃいますよね」

■稲川さんって怪談を執筆中の時も、ライブで怪談をされている時もどちらも生き生きとされていて楽しそうなんですが、実際のところはどちらがより楽しいんでしょうか?
「これはいいこと聞くなぁ〜。いやぁ難しい!これはどっちとも言えないんですよ。話をまとめるのって本当に大変なんですよ。でもね、少しずつ話が見えて来て、お?!お?!ってなってる時はそれはそれは楽しいですし、やっと語れるようになった時の“やったな!”っていう瞬間の満足度、逆に語ってる途中から自分もお客さんもどんどん乗って来た時のあの一体感。これはね、どっちもいいんですよね。赤と青どっちが好き?って言われてるような感覚かな?」

■実際昨年稲川さんのライブを体験させて頂いて、怪談=怖いではないっていうのが一番衝撃的だったのですが、何よりも稲川さんの特徴的な語り口調と、お声が心地よくて、少し眠くなるという感覚を覚えたんです
「それはね、あるみたいですね!F分の1の揺らぎってあるじゃないですか?炎の揺らぎだったりザザーッという波の音だったり、ドクンドクンっていう鼓動だったり。怪談って始まっていくとそんな風に心地良くなっていくんですよね。だから眠くなるっていう人が居ますよね。これは上手い舞台を見たり上手いライブを見たりしてもなるんですよ。特に怪談っていうのは薄暗い中で独特のリズム感で語っていくでしょ?そうするとね、前の方でも寝てる人居ますよ〜(笑)」
プロデューサー「あとは怖い怪談を語って、怖い心霊写真を見せてって公演なのに、終演後には殆どのお客さんが笑顔で帰って行くっていうのも面白いですよね」

■そうですよね、皆さん温かい幸福感のようなものを持って帰ってらっしゃるというか…
「だって明日死にそうな人は怪談聞きにこないじゃない?怪談は明るいんですよ。修学旅行の夜に話したり、海辺で語ったりね。だからね、うちのお客さんでカップルになって結婚したっていう人も多いんですよ。だから婚活には怪談です!また私の怪談は美女が多いの!」

------------- 一同爆笑 -------------

■そんな奥深い怪談、今年も当日が楽しみです!
プロデューサー「今年は5年間温めていた(ツアーの最終選考まで残っていたけど納得がいかないという理由で披露していなかった)話がやっとパーツが見つかったという事で、やって下さるんですよ。僕も凄く楽しみなんですよ」
「ただ、これを今から練習しなきゃいけないからねぇ。いつもは中野から新宿まで歩きながら練習するんですよ。朝の11時くらいから出て帰ってくるのは4時か5時くらい?一度新宿御苑の大きな銀杏の木の下で練習してたら烏に襲撃されちゃってさ、大変だったんだから(笑)」

------------- 一同爆笑 -------------

■では最後に皆さんへメッセージを頂けますか?
「この四国での公演は長い間念願だったんですよね。昨年やっと全県回れて、だから今年はこの稲川怪談をもっと根を張っていけるようにいい舞台にしたいなと思ってますよ。怖くて蒸し暑い、でも少しヒヤッとするそんな時間を一緒に過ごしませんか?」

■ありがとうございました!今回も内容盛りだくさんのお話しを聞をかせて頂いたんですが、これだけ長いツアーをされていて終わった後なんかはゆっくりお休みされるんですか?
「いやもうずーっとないですね。ゆっくりとしたお休みは。一年のうちで自由になる時間なんて殆ど無いですよ(笑)まさに遊びを兼ねて、人生をかけての怪談ですね…」
プロデューサー「あ、今の今日一番良いこと言いましたよ!」
 
 
---------------END---------------
 

よくあるご質問