杉山清貴 インタビュー2
2018/12/04
■そして野音で発表されたのが全国ツアーですね!皆さんの日程を合わせて、来年2月から開催されるということで。
「ツアーで13本のライブが決まりました。もう何も心配は無いし、野音でやった楽曲は映像化されているのでそれ以外の曲もどんどんやろうとなっています!ただひとつ不安なのが、長いツアーでしかも冬なので皆の体調が心配です(笑)」
■冬なのでお客さん側もしっかり体調管理が必要ですね!野音は立見も満員でチケットを買えなかった人が沢山居たように、それだけの人が待ち望んでいる再集結ツアーなので、また特別な緊張感と楽しみがあります。
「やっぱり活動期間が短かったからね。セカンドツアーの後のサードツアーで解散ですから(笑)だからお詫びツアーですね。それこそお母さんやお父さんが聴いていたという方たちも楽しみにしてくれているみたいですし、まさかライブが観られるとはって喜んでくれている方達も居るようですし。そうやって喜んでくれる人が居るなら、本当にそれ以上の事は無いと思います」
■35周年を終える、ちょうどその日の4月21日に地元・横浜公演というのは意図的ですか?
「これは本当に偶然で。神奈川だけスケジュールが中々取れなくて、取れたのがデビュー日の4月21日で地元神奈川という。これがまた奇跡的だなと」
■本当に、奇跡的ですね。また、杉山さんの歌声が昔も今も透明感があって爽やかで素敵だなと感じまして。歌の表現で心掛けていらっしゃることはありますか?
「歌詞の世界を映像化していくっていうんですかね。特に80年代の歌詞って短編小説みたいな感じじゃないですか。それをどう映像化して皆さんに伝えるかってところを未だに意識していますね。言葉はしっかり伝えるという」
■確かに杉山さんの楽曲を聴くと、その情景が頭に浮かびます。歌声を維持する為にされている事はありますか?
「特に無いんですよね。ただ自分が理想とするボーカリストとか具体的なのは無くて、Aさんのこういうところが自分にあったら良いなとか、そういうものを若い頃から収穫してきて。なので自分の行きたい方向性みたいなものは凄くあるんです。そこへ向けていつもなんとなく歌っているし、昔からキーは変わってないんですけど、あの壊れそうな少年のような声は今は出ません。その代わりしっかり生きてきたのでしっかりした声は出ますね」
■私生活ではサーフィンをされていますが、サーフィンが音楽に影響を与えてる部分はありますか?
「サーフィンは楽しいし趣味なんですけど、これはジムに代わるトレーニングですね。やっぱり海に入るようになって、肺活量は影響するようになったなと思いますね。サーフィンは結構大変なので。これが幾つまで出来るかっていうのがひとつの目標かな。自分が好きな海を皆に伝えたいという想いでずっとやっていたんですけど、某バンドの要さんにお前は海ばっかだよなって言われ続けたんですね(笑)でも確かに海だけ伝えていっても、そうじゃないところを聴きたい人が沢山居るっていうのはここ最近やっと分かった感じです」
■最新のソロアルバム『MY SONG MY SOUL』が5月にリリースされていますが、このアルバムは海や夏を感じる楽曲ももちろんありますが、仰られている通りそれ以外の日々の想いや、杉山さんが歌うからこそ納得出来る上質な大人の楽曲が収められていますね。今作もですが、前作の『Driving Music』からプロデューサーを迎えられているのはどういうきっかけがあったのですか?
「ソロになってからずっとセルフプロデュースという形で続けてきて、2016年にソロ30周年のアルバム『OCEAN』を作って。何も意識していなかったんですけど、作り終えた時にあ、俺ずっとこういうアルバムを作りたくてやってきたんじゃん!って思って。悩み苦しみ作り続けてきた中で、なんか凄く簡単に出来ちゃった時に、あぁこれでとりあえずセルフプロデュースはおしまいという事だなと自分で見えたんですよね。という事は原点回帰でオメガトライブみたいに新たな世界を作っていけたらという想いがあって。たまたまその時に面白いプロデューサーが居るよと紹介してくださったのがMartin Naganoさんという方でした」
■セルフプロデュースを完結出来たのは何かきっかけがあったんですか?
「これが難しいんですけどね、テーマを持ってアルバムを作ろうとすると、最終的に思っていたものと少し違ったものになるんです。でもこの課題は次へと、そして次のアルバムを作るとまた少しずれて・・・という感じだったのが、ピシっと定まったというか。面白いことに、『OCEAN』を作った時にレコード会社もディレクターも僕もアルバムをいつから作るというミーティングを何もせずにいて、ある日突然作らなきゃねっていう話になって!まだ何も曲書いてないしと急いで書いた曲がすごくナチュラルで良かったんですよね。それまでの29年間の苦労が、簡単にそこで答えが出たというか。理由は分からないんですけど、杉山清貴が追い求めてたアルバムってこれじゃん!って自分で感動したんですよね。誰かに言われたわけでもなく使命感のように毎年アルバムを作り続けてきた中で、そこに辿り着けて良かったなと」
■長年追い求めていたものが『OCEAN』で完成してから、新しいものを作り出すために製作されたのが『Driving Music』と『MY SONG MY SOUL』だったんですね。この2作にはどういう想いが込められていますか?
「もうこの歳になってくると、新たな恋やどうのこうのっていうのは絵空事になってくるわけだし、そうじゃなくて自分が経験したことを如何にロマンチックに出していくかというところかなと思いますね。音に関しても、自分が今まで作ってきた音をさらに凝縮していったりだとか、今までやらなかったような音にも挑戦してみようとか。そういう楽しみがまたありますよね。特に今回の『MY SONG MY SOUL』の1曲目に入っている『月に口づけ』みたいな楽曲は初めてだったんですけど、また新しい方向性を示してくれているなと思います」
■今年3月からアコースティックソロライブツアーで全国を回られていますが、このツアーは杉山さんにとってどういうものですか?
「本当に自由な空間というか。ひとりだとその日の気分で今日はこの楽曲やろうとか自由に出来るし、アレンジも間奏長くしちゃったりだとか。一番自由な時間ですよね。家に居るような感じで、それを聴きに来てもらう感じですね」
■また、12月22日と25日には、千住明さんとのシンフォニックコンサートが控えられていますね。こちらも35周年を記念してやろうという運びに?
「そうですね。千住君はきゅうてぃぱんちょすの2代目キーボードだったんです。10年前に二人で大好きだった洋楽アルバムを作ろうと、編曲・指揮を千住明で2枚作ったんですよ。最終的にはいつか日本の歌をやろうねと言っていて、たまたまこのタイミングで今回オメガトライブとソロになってからの楽曲をオーケストラでやろうという話になって。良いですよ、オーケストラは!歌っていて気持ち良いんです。とにかく千住とやるんだったらオーケストラでしょっていうのはあったんです」
■それでは最後に、杉山清貴&オメガトライブ再集結の2月23日香川公演を楽しみにしている四国の方へメッセージをお願いします。
「音楽っていうのは時代を引き戻すというか、若い方でも我々のような年配の人間でも一瞬にしてその時へ帰れるじゃないですか。匂いもそうですし、景色とか、それを思う存分味わって帰っていただけるようなライブになりますので。期待して遊びに来てください」
杉山清貴 PROFILE
1983年4月21日、杉山清貴&オメガトライブとして『SUMMER SUSPICION』でデビュー。ヒット曲を連発し、85年12月に解散。86年にソロでリリースした『さよならのオーシャン』が大ヒットし、80年代のミュージックシーンを疾風のごとく駆け抜けたJ-POP/J-AOR のカリスマ的存在に。ソロ活動では大規模ホールでのコンサートツアー(フルバンド)からライブハウスまで幅広い演奏活動を年間通じて展開している。2016年にソロ・デビュー30 周年を迎え、アニバーサリーアルバム『OCEAN』を発売。昨年7月にオリジナル・アルバム『Drinving Music』のリリースを経て、今年5月16日に最新アルバム『MY SONG MY SOUL』をリリース。同じく5月には杉山清貴&オメガトライブのオリジナルメンバーが再集結し、日比谷野外音楽堂にてライブを開催。2019年2月より全国ツアーの開催が決定。
●オフィシャルサイト http://islandafternoon.com/
杉山清貴&オメガトライブ
杉山清貴(Vocal)
高島信二(Guitar)、吉田健二(Guitar)、西原俊次(Keyboards)、大島孝夫(Bass)、廣石恵一(Drums)
サポート・ミュージシャン:大阪哲也(Keyboards)