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稲川淳二インタビュー【2】

2017/07/01

稲川淳二----interview②
 
 
■怪談って怖いっていうイメージがまずあると思うんですが、私も稲川さんのお話を何度も聞かせて頂くうちに、怖さを通り越した先の優しさとか、人間性という部分に惹かれているっていう所に辿り着きまして…
「あぁ〜、ありがとうございます!嬉しいなぁ。なんか懐かしいですよね。遠い昔の話をしてるわけでも無いんだけど、以前から知ってる人のようなね。よく言われるのは座長の話を聞いていると、ずーっと前から話を聞いているような気がしてくるとかね、勝手ながら自分にとっては夏一回の故郷ですとかね、色んな人から手紙が来るんですよ。それもちゃんと子供からも大人からも来るんです。私はテレビも演ってましたけど、その時は全然ファンレターなんて来ませんでしたからね。今は生身でもってお会いしてるもんだから、私も一対一の気持ちですよね。で、ファンクラブを作ってくれって事で15年前に作ったんですけども、そしたら毎回毎回ファンレターが沢山来るもんだから、それに返事を書いてたら…見て下さいこの手!!親指が裂けちゃって。タコも出来て…凄いでしょ?!(笑)私、一枚一枚お返事を書くんですよ。もうね、痛くて字が書けないくらいなんですよ」
一同「ヒャ〜〜〜!!!!(驚愕)凄いですね!」
「でもね、こうやってね、実際に自分でちゃんと回らないとダメですよ。毎回公演を演ったとしても、ちゃんとその土地にお邪魔して、皆さんとお話して、その土地の空気、その土地の良さを見てるから話が出来るわけですよね。突然サーっとやって来て照明の中で淡々と話をするだけだったら、はっきり言ってCDやDVDだってきっと構わないわけじゃないですか…。臨場感ていうのかなぁ。その場所で同じ時間を共有している、その楽しさですよね。それが一番大事な事だと私は思うんですよね…」

■あと、これは自分でも驚きなんですが…稲川さんのお話を聞いていると最終的に気持ちよくなってくると言いますか…トランシーになんてくるんです(笑)
「それはもう、一番素敵な聞き方ですよ。素晴らしい!私は極力早く皆さんをそういう状況に置いて差し上げたいんですよね。だからなるべく皆さんの知ってるイメージにだんだん当てはめて行けるような状況を説明するんです。深い屋根があって、そこの下に長〜い影が広がっていて、薄暗〜い廊下が続いている…というように。あとはなるべく既製の効果音を使わないようにして、擬音なんかはほとんど自分の口でやっているんですよね。そこでリアルな音を出してしまったら、その瞬間に状況が限定してしまうじゃないですか…。極力皆さんが持っている感性で判断して聞いてもらえるようにしているんです。例えば日本のSLの警笛なんかもそうなんですが、音だけで泣けるというかな、そういうものってイメージ世界でしょ?皆さんの頭の中でフゥーっと降る真っ白い雪が見えてきて、一面の雪の中から黒い塊が煙を上げながらチャッチャチャッチャと近づいて来るじゃないですか?その時にそれぞれの頭の中で列車が走ったらこっちのもんですよね。私はそれが演りたいんですよね…」

■なるほど…お話の作り方っていうのはどんな風にされているんでしょうか?
「話の元や話の破片っていうのは意外とずっと以前からあって、その話がまだ出来上がってなくて、成立させるためにはパーツが足りてないというかな?時間が経つとまた違うところから似たような破片が出てきて、それらを組み合わせながらこれがそうだ!っていう時に一本の怪談としてまとめるんですよね。私の話は全くの真実じゃない話っていうのは意外と少ないんですよ。大概何かの事件があったり、ずっと語り継がれている事実があったり、何か伝えたいものがあるわけなんですよね。ただ最近怪談をやっている若い人たちの誰もが勘違いしているのが、怪談がただの事件や事故の報告のようなものになってしまっているわけなんですよね。怪談には教えがなくちゃいけない。だから皆勘違いして開かずの間、開かずの間、って言ってるんですけど、あれは開かずの部屋であって、開かずの間ではないんですよね。開かずの間っていうのはそこであったことや起きた事を、見てはいけない、知ってはいけない、言ってはいけない…、その状況のことを言うんですよね。でもそういうことの多くがいつの間にかに忘れ去られてしまってるんですよね…。最近じゃ畳を知らない子も居るくらいですから仕方ない事ではあるんですけどね」

■話の中に伝えていかなきゃいけない教えがきちんとあるのが怪談なんですね
「河童の川流れなんていう言葉がありますけど、あれなんかは河童=河の童。昔は子供の口減らしの為にやむを得ず川へ行ってお父さんが小さい我が子を殺しちゃうわけなんですよね、そしたらそれが川に流れて行く…それが河童の川流れっていうものなんですよね。そういうのって探求していかないと分からないですよ、自分の足でね。これは本で調べたわけでも何でもないからね。教育上、幼い子供たちには直接言葉としては伝えることが難しいようなタブーを、昔の大人たちは怪談に擬えて教えていったっていうのもありますよね」

■単純に凄く勉強になりますし、興味深いです。民俗学や考古学にも精通するような。ここまで来ると、もはや怪談っていうカテゴライズがどういうものなのか果てしないですね…
「そうそうそう!面白いのがね、怪談ていうのは一つの根元から始まったと思われる話がいくつもあってね、考古学みたいに一つの破片が見つかって、おっ?これ以前に拾ったこの破片に合うな。でもこれって丼なのかな?壺なのかな?なんて言ってるうちに他の場所からもまた似たような破片が出てきて、だんだんとひとつの形が見えてくる。ただ絶対に足りないパーツがあったりすると、その部分を自分で推理して埋めていくわけですよね。この話には恐らくこういうことがって、年代や背景から考えるときっとこうだ!っていう風になるのが楽しいんですよね。発掘される恐竜の骨なんかもそうでしょ?骨の形状を見ればそれが二足歩行の肉食恐竜が、四足歩行の草食恐竜か大体の想像がつく。でもその恐竜の元の姿や形は分かっても皮膚の色であるとか、鳴き声だとかはまったく分からないじゃないですか…。その部分を推理したり創作したりする楽しさっていうのかな?私の怪談もそんな感じなんですよ」

■稲川さんってずっと喋り続けてらっしゃるじゃないですか?お話を。この時は頭の中に絵が浮かんで来てるんですか?
「そうですね、頭の中では紙芝居のように絵が順番に見えてるんですよね。要するにストーリーで追ってないというか、原稿で覚えていないんです。文章でストーリーを覚えちゃうと頭に浮かんでくるものがどうしてもモノクロなんですよ。でも絵で追っているとそこに自然に色が付いてくるんです。文章を書く人って、原稿を書き終えるとそこで完成するじゃない?でも私の場合は、そこから映像に変換して、その絵を見ながらというか、映像の中を自分で歩きながらお話をするんです。そうすると前日も話しをしたばかりのこのストーリーが、絵の中を歩いて行く事によって、昨日は見えてなかったものが新たに見えて来たりするんですよね、だから私の怪談には最終型っていうものが無いのかもしれないですね」

■本当に芸術作品ですね…
「だから面白いんですよねぇ。怪談をやる為に私は小さい頃勉強しなかったんですから…(笑)絵ばっかり描いてね。そうやって好きな事を自由にさせてもらったお陰でこうなったんですね(笑)」

■当日が益々楽しみなんですが…今回25周年という事で、なんと香川県のわらび餅の老舗『かねすえ』さんとのコラボ商品で『こなきもち』が会場限定販売されるとか!
「25周年の記念商品として、前々から実現したかったツアーオリジナルの和菓子が遂に完成しました!“こなきもち”!この人が(マネージャーさんを指して)モデルになったこなき爺ぃですから。で、あの忍たま乱太郎の尼子騒兵衛先生がパッケージのイラストを描いて下さいました。今年のツアー会場限定で販売します。これがね、旨いんだ!」

■では最後に読者にコメントをお願いします!
「四国は以前から何度もお邪魔してるんだけど、なかなかこういう機会がなかったな…今回はまさに四国全県を回れる!本当に嬉しい限りです。楽しくて怖くて、怖たのし〜い時間を四国のみなさんと共有したいですね。一緒に大いに楽しみましょう!お待ちしております」

※〜終了後
DOMO「稲川さんの人柄が、ここまで人を惹きつけるんだと、今回改めて感じました。こうやって全国を回ってらっしゃるのも含め色々と頭が下がります…」
「私は15年前にTVを辞めたんですよね。レギュラーもあったし、ドラマの話なんかもあったんですけどね。そういう時に潔く辞めておかないと、ズルズルいってしまって、そのうちにいい歳になっちゃって、テレビの仕事も少なくなってきたからそろそろ本腰を入れて怪談をやろうかなぁ…、なんて絶対に無理なんですよ。私の怪談を愛してくださるファンの方々に失礼じゃないですか。本気でやらなくちゃって思って!だからね、いろんなものを捨てて怪談に没頭して来たわけですけど、今は本当にその時の判断が間違ってなかったなって思ってますよ」
DOMO「いやぁ〜もう生き方そのものがカッコいいですね!」
プロデューサー「コレ一番いいところ録れてないけど大丈夫ですか?(笑)」
DOMO「実は回ってるんですよ〜!(笑)」
------ 一同爆笑
 
 
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