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SUPER BEAVER インタビュー2

2018/06/01

■個人的にはM5『シンプリー』からM6『まちがえた』のライヴを想起させる流れも、すごく好きで。この辺を聴いていて改めて思ったんですけど、『シンプリー』の歌い出しでも「誰も傷つかない笑いが好きだ」というフレーズがあるように、柳沢さんの歌詞って、誰も責めたり批判したりしないし誰も傷つけないなって改めて実感したんです。世の中に中指を立てたようなセンセーショナルな言葉を使うという手法ではなく、優しいのに強く、深部に入り込んでそれぞれに落とし込んで、考えさせる歌詞だなぁとしみじみ。

柳沢:メンバーみんなで共有している部分でもあるんですが、同じ物事を伝えようとする時に否定するのは簡単なんです。例えば、否定をするという事は好きな事や物がその裏側にあるということだし、どっちからの言い方もできるのならば、好きなものの方から言っていた方が感情のエネルギーとかポジティブなものだけが残る気がしていて。そういう伝え方の方が楽しいよなというのは日々感じているし、『シンプリー』という曲自体がそれを歌っているものだし。常にもっとこうだったら楽しいよなって思っていたい。SUPER BEAVERが発信していくものはそうであって欲しいなと、年々ますます思うようになりましたね。

渋谷:歌う時にはその伝え方というのは凄く考えますよね。全部LIKEで考えられると温かすぎて人っぽくないじゃないですか。イヤなものや嫌いなものがあるというのは意識をしていなくちゃいけなくて。それの発信源がなんだろうとか、その根源にあるものは自分で把握すべきなんです。でもHATEで繋がれる感情は生産性がないし、その場の共感でストップすると思うんです。一方でLIKELOVEで派生するものはものすごく生産性が大きくて、なんで、どうして好きなんだろう、他にもこれも好きなんじゃないかって繋がっていく輪の広がりが何倍も大きい。こういうことがあるから自分は楽しいと思っているけれど、でもそれに気付けたのは嫌いなものがあったから。それらを意識した上でしっかりと伝えられたら、なぜ繋がりたいと思えたのかというところまでちゃんと伝わると思うので。極論をいえば、曲として放った瞬間に、僕らのことは置き去りにしてもらったらいいんです。聴いてくれた人たちが、全部自分のことに置き換えて、自分の中で生まれる何かの感情のきっかけにしてもらえたら。

 

M9『嬉しい涙』でも気持ちを共有する歓びに気付いた時のことを歌っていますよね。バンド内で話したことを曲にした、と聞きましたが。

柳沢:『真ん中のこと』のツアーファイナルで日本武道館公演を発表した時に、自分たちと同じ熱量で喜んでくれる人達がこんなに居るんだと思ったんです。その日のメンバー・スタッフとの打ち上げで、移動中渋谷とたまたま隣同士で歩いていたときにポロっと会話の中で出た言葉たちで。僕らが嬉しいと思うことを嬉しいと思ってくれる人が居るってことが、単純にSUPER BEAVERとして活動していく中で、「もっとかっこいいライヴがしたい」「もっといい曲作りたい」「もっと楽しい日を作りたい」に直結しているなと。この気持ちはそのまんま曲にしたいなと思ったんです。

上杉:最近は柳沢から曲が出て来て共感できないことが歌になってくることがないんです。あの時のことかなとかすぐに思い浮かべられるし、この4人が見るべきこと再確認したいことをちゃんと曲にしてくれる。これも今だからこういう曲が歌えるし、これからの活動の中でも大切な曲になるんじゃないかなと思いますね。

 

■また歳を重ねたからこそ、嬉しい涙の意味って理解できるというか。悲しかったり悔しかったりよりも、嬉し泣きの方が増えません?()

柳沢:あの満ち足りた陽の気持ちは、本当に何事にも代え難いですよね。確かに嬉しくて涙が出る機会の方が、歳を取ってくると増える気がしますね(笑)

 

■そしてまた名バラードM10『ひとこと』が誕生しました。渋谷さんの伸びやかな歌声が気持ちの良い1曲ですが、曲のほとんどがピアノとストリングスで展開されていて、バンドサウンドは最小限ですよね?

柳沢:前作の時に大枠は出来ていたのですが、リズムアプローチとかライヴを意識したものというテーマを踏まえて、今回じゃないよねと外していた曲で。でも曲としては凄くいいよねという意見もあったので、今回のフルアルバムに入れる事になりました。アレンジをしていく中で、どう届ければ最短で深くまで届くかなという点だけを考えたので、4人組のロックバンドだから必ずエレキギターを入れないといけないとか、ドラムが最初から入ってないといけないとかそういうものもなく。必要であれば入れるし、必要なければ入れないし、でも今ならSUPER BEAVERの楽曲として届けられると思えました。渋谷の歌もダイレクトに届くし、純粋にいい曲だなと思いますね(笑)バンドの自由度が上がっているのを象徴する1曲かなと。

 

■最後の4人のコーラスがちゃんと、バンドらしさとしてのエッセンスにもなっています。

柳沢:歌わないと、みたいな感じはなかったんですよ。楽曲の最後の持っている空気感をそのまま伝えるにはと、あの形になりました。

 

■渋谷さんの歌も凄く近くて、寄り添ってくれる感じがします。

渋谷:距離感は大事にしました。今までのどの曲よりも聴いてくださる方とのめちゃくちゃ近いところで歌っているつもりです。楽曲の構成的には壮大なのですが、立ち位置的にはミニマムにしようと思ったので。

 

 

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