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ReNインタビュー【2】

2017/08/07

ReN ----interview②
 
 
■『LIFE SAVER』っていうキーワードはタイトルの意味合いとしても大きくて、今回のアルバム全体を表している言葉でもあるかと思うんですが、これは楽曲を作る前からあったんですか?

「いえ、これは全然決まってなくて。『LIFE SAVER』っていうタイトルがまだなかった時にセカンドのタイトルをどうしようかって考えてて。今まで作った曲を並べてみたんですがイマイチピンとくるものがなくて、その直後に僕はエド・シーランと対談する事になったんですけど。本当は完璧なものを作ってスッキリさせてから彼に会いたかったんですが、逆にその未完成なままで彼に会った事で、『Life Saver』っていう曲に出会わせてくれたので。彼に会った直後にもう一曲欲しいって思って、今までやった事のない作り方でビートを積み上げた曲を作ったんです。そしたらバーッと世界観が出来て、それが音から景色に変わって来て、これは絶対に夜だ!夜の高速道路が見える!何かから逃げてる疾走感みたいなものが見えて来て。それは自分が新しい所へ行きたかったっていう衝動が曲に出てるんだろうなって。でもネガティブなものではなく、凄くポジティブなものだなって。新しい所へ行けるような感覚っていうのが綺麗に曲に乗っかった時にLife Saver』って言葉がフッと出て来たんです。それは普段だとビーチにいるライフセーバーを思い浮かべると思うんですが、僕にとっては音楽がライフセーバーだったんだなって。音楽を通した数分間っていう時間だけは、自分を開放できるような曲をライヴでもやりたいって。それが出来た時に、このアルバムは喜怒哀楽を通して皆の心にスッと入り込んで共感できるようなライフセーバーになればいいなと」

■アルバムの幕開けとなる『What I’m Feeling』『Life Saver』と続けて聴くと、これはもはや洋楽?!とも言うべき世界観に仕上がっていますよね。もの凄くカッコイイなって。かなり新しいサウンド感というか

「ありがとうございます。ただ、正直言うと最初はドキドキしてました(笑)今までのギター1本の世界観を好きだって言ってくれてる人もいっぱい居て。でも僕は現代の音楽もいっぱい聴いてきていて、一人でもバンドサウンドっていうものを表現できるライヴスタイルも持っているから、そこは追求していきたくて。前回の作品は内向的で僕自身も凄く暗かったというか。でも今は音楽を通してハッピーでいられる時期も多くて、明るい世界観を出していきたいっていうイメージもありました。だから最初のこの2曲っていうのは僕の中でも凄く新しい世界観ですね。僕自身も大好きなので、これからはこういう曲も沢山作っていきたいなって思ってます。もちろんギター1本でやるフォークの文化みたいなものもちゃんとやりたいし、そこのバランスを上手く取っていきたいですね。今回のアルバムでは自分のスタイルとサウンドっていうのを見つけられたし、新しく興味を持てたサウンドもあったし、自分の中では納得してます」

■少しエキゾチックな要素や、R&B、ブラック・ミュージックのルーツを感じるようなものもあったり。ジャンルレスな感じもあります

「それも去年の『Lights』のキャンペーンで色んな所を回らせて頂いた時に、福岡のソウルBarに行ったんですよね。そこ80歳くらいのご夫婦が営業していて、かなり希少価値の高い古いレコードを置いている所なんですけど、そこのお爺ちゃんとお婆ちゃんがレコードかけて踊るんですよ。そのリズムの取り方がカッコ良くて。日本人じゃないみたいなんですよね!そこでグルーヴを教わって。それが『What I’m Feeling』に生かされてるんですけど、僕もそれを意図したわけではなくて、ふとした時に自然に出ていて不思議だなぁって。で、少し話が前後しちゃうんですけど、エド・シーランに会った時に、彼がオーストラリアのオペラハウスでライヴをやるって聞いて、ダメモトでチケット持ってないんだけど、行きたいんだっていう事を伝えたら来いよって言ってくれて。そこでたまたま1日観光をした時に、ボンダイ・ビーチって所に行ったんですよね。そこはサメが毎年出るのにサーフィンのメッカでも有名で、そこがたまたまライフセーバー発祥の場所だったんですよ。その時はここからライフセーバーが世界へ広がって行ったのか!へーって思ってて(笑)で、戻って曲を書いている時は全くその事を忘れてて、出来上がってマネージャーに曲を聴かせたら、やっぱりこういうインプット・アウトプットってあるんだねって言われて、何の事言ってんだ?!って。あの時海行って良かったじゃん!って言われてそしたらハッと気がついて。意図してない所で吸収してて、意図してない所で出ていくっていう。何か出そう何か出そうって思ってる時って何も出なくて。でもまぁいいやって自然体でいると意外と出て来る事もあるんだなって」

■もちろん色んな出会いや、学びがあったと思うんですが、そもそもReN君の中でこういったジャンルの曲っていうのは元々好きっていうのもあたったんでしょうか?

「ありました!でもきっかけはやっぱりエド・シーランなんですよね。彼がそういう色んなジャンルを取り入れた楽曲を作るので僕も影響された部分はあります。ただ、プリンスとかは凄く好きでしたけど。あとはエイミー・ワインハウスとか。でもそれも昔からよく聴いていたというよりは、新しく出会ったっていう感覚ですかね?それが凄くカッコよくて、これって何だろう?って辿って行ったらブラック・ミュージックだったっていう」

■私はてっきり好きで昔からよく聴いていたんだと思っていました

「多分聴いていたのは聴いていたんだと思うんですけど、自分には作れないと思ってました」

■でもやってみたら…

「出来たっていう(笑)」

■こういうのを才能っていうんだと思います(笑)あと、ReN君の曲を聴いていて思うのが【リフ】の美しさです。それは前作を聴いた時も感じたんですが、今作も健在で、意識している部分ってありますか?

「それは嬉しいです!僕リフが大好きで…(笑)音楽の中で響くものって必ずしも言葉だけじゃなくて、洋楽を聴いている時なんかは特にそうなんですけど、全部の意味を吸収できないじゃないですか?そういう時って意味が分からない方が良かったりするんです。音楽を作っていて背景とか心境にフィットするものを選ぶ時に、言葉だと意味があり過ぎるというか…そうすると自分が考えているものとは違う所に行っちゃうので。僕は洋楽を聴いている時に音で感情が左右されたりする事が多くて、この曲のココが好きで何回も聴いちゃとうか、このリフが好きでずっと聴いちゃうっていうのがけっこう強烈にあって。レッチリの曲なんかは凄く多いんですよね。音を景色に変えたり、音を意味として人に届けるっていう方法が僕は大好きで。もちろん日本語の良さだったり、きちんと思いを言葉に乗せるっていうのも素晴らしいと思うんですけどね。リフって発明品みたいなとこがあって、特に『Life Saver』はギターリフを最初に作って、そこからループミュージックを作って行こうって。『What I’m Feeling』では音ではなく言葉のリフを使ってみたりしました」

■そういう意味で言うと『Life Saver』や『What I’m Feeling』はそれが成功している曲っていうか、何回聴いてもまた聴きたくなる不思議な中毒性を持った曲ですよね

「『Life Saver』は今回そう言って下さる方が結構いらっしゃって。本当に色んなエッセンスや不思議な出会いや多くの出来事が起こって生まれた曲なんで僕にとってもライフセーバーなんですよね。この曲が出来たお陰でライヴもパフォーマンスがガラッと変わったり、出来なかった事が出来るようになったり…。曲がそういう自分を作り出してくれたっていうような事もあったので。自分の中では大切にしている曲で、今後もこういった曲をいっぱい作っていきたいですね」

■先ほども言いましたが本当に邦楽を聴いている感覚があまりなくて、まさに洋楽。でも日本語がちゃんと響いてくるのが不思議な感覚で…

「『Life Saver』って曲は実は今回アメリカで聴いて下さってる方が結構居て…出だしが英語っていうのもあって。でも聴いてるうちに日本語が出てくるから何だこれ?!ってなると思うんですけど(笑)ただ、日本語もちゃんと聴けるんだなって思って。アメリカの人からメッセージをもらったりすると、日本語でもこういう事って起こるんだなって。世界に出て勝負するならもちろん英語だろ?!って思うんですけど、でも僕はスペインの音楽とかも好きで、それは言葉を音として聴いちゃうからなんだと思うんですけど、日本語もそんな風に聴いてもらえたら凄く自由だろうなって。だからそこも頑張って扉を開いてみたいですね。日本語の曲も世界に通用するんだって!あーまた俺すっげぇ喋ってんな!!本当にすみません。全然前と変わってなくて。編集大変だろうなっていつも思うんですけど…(笑)」

■(笑)まだ質問は続きますが。『Life Saver』の中には、凄く具体的なフレーズが出てきますよね。「締め付けられた日々から君を救いに来たんだ」って

「歌詞に関して言うと、最初に音を聴いて出てきた言葉をほとんどそのまま使っていて。あえてじっくり聴き直して、書き直すという事もしてないんですよね。だからその部分は僕のその時感じていた心境が入ったんだと思います。誰かを救い出したいっていう気持ちがあって、でもそれは自分に対しての気持ちでもあったと思うし」

■アルバムの中では作品の振れ幅がかなりあると思うんですが、作品の時間軸で言うとどうなんでしょうか?

「当初『LIFE SAVER』と『What I’m Feeling』って曲は無くて。それ以外の曲でアルバムを構成してたんです。だからどちらかというと『Lights』の延長線上で作ってた世界観だったんですよね。出会いが僕をもっと違うところへ行けよって導いてくれたような気がしていて。色んな出来事や出会いがあって、『Life Saver』と『What I’m Feeling』は必然的に出来上がった曲だったので、もっと早い段階で変化が起こっていたら、このアルバムはもっとアップテンポな曲が増えたと思います。僕の時間軸が如実に表れているアルバムですね。『Tell Me Why』が出来た時には『Life Saver』の世界観なんてなかったので。僕のこの1年の出来事が曲に反映されて、それが1枚のアルバムになったっていう感覚です。3枚目からはもっと固まるのか?どうなのか?っていう(笑)」

■『Life Saver』はアコースティックバージョンも収録されていますね

「前回のアルバムにあった『生きる』もアコースティックバージョンがあったんです。僕の中に一貫してあるものはアコースティックサウンドで、僕が作る音楽がどんなにアコースティックから離れても僕はアコースティック・ギターがあればそれが表現できるっていう。僕はシンガー・ソングライターだという証明をあえて残したくて、アコースティックからは一番遠い『Life Saver』っていう曲を表現してみました。究極はアコースティック・ギター1本でとこへ行っても皆を揺らしたり、踊らせたり、歌わせたり出来るようになりたいですね。それって無敵な気がします」
 

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