クリス・ハート インタビュー2
2016/10/05
■今年4月には初の武道館ライヴを大成功に収められました。そこにアメリカのご両親も招かれていたんですよね!
「そう!初めてお父さんとお母さんが日本に来て。一番恥ずかしいライヴでした(笑) 武道館は“僕はここで生きていく”ってテーマにしたんです。その頃は帰化申請の事で、ご両親は大丈夫なの?とファンの方も心配していて。だったら武道館で両親が僕のステージを観るチャンスを作りたいし、ファンの皆さんにもちゃんと紹介して、両親も応援してくれてるよって伝えたくて。そこで一番最後にさだまさしさんの『いのちの理由』を初めて歌いました。自分のこれまでの道を見せたいなと思った武道館だったので、色んな事を思い出しながら歌って…子供が生まれて、憧れていた武道館に立てて、お父さんお母さんも居て、ファンの皆さんも居て。“生きててよかったな”と思いましたね」
■一つ集大成といいますか、次へのスタートも切った武道館だったんですね。今回リリースされた『いのちの理由』はこのライヴがあってこそ今回シングルになったのですか?
「『いのちの理由』を初めて聴いたのは昨年の夏ぐらいで。その後今年の初めに、さだまさしさんのライヴにお邪魔させていただいた事があって、そこでちょっとお話も出来て。その時はカバーする事は決まっていなかったんですけど、武道館のセットリストを考えている時に、改めてこのライヴの一番最後はこのメッセージだなって!ライヴで歌ってみたらファンの方の反応もすごく良くて、リリースして欲しいという声もあったのでシングルになりました」
■この曲を聴いて、日常の大切さや“生まれてきた訳”について考えさせられました。当たり前の中にある大事な事にハッとさせられるというか。クリスさんがこの曲の中でも大事にしているところは?
「日本の歌は良い事も悪い事も両方に意味があって、大切にしなきゃいけないところがあります。歌詞の中に、私が生まれた訳は“誰かを傷つけて”、“誰かに傷ついて”という部分があって、そのどちらも大事ってところが凄く深くて。武道館のステージでもそういう事を考えていて。昔に悩んでいた事も、それがあって乗り越えたからこそ今の自分になれた。だから大変な事もあって良かったと思えました。“私が生まれてきた訳は”ってフレーズが何回もあって、そのセリフとセリフの間には僕と皆さんの色んな人生が入ってるなって。武道館でも“私が生まれてきた訳は”と歌った瞬間に色んな人の顔を見て、思い出が出て来て、涙が出て。またそのフレーズを歌ったらまた違う思い出が出てきて…!そういうタイミングやメロディ、歌詞、曲の作りもとても勉強になりました」
■武道館で歌った事によって曲の理解もより深まったんですね。カバー曲はクリスさんにとって原点かと思うのですが、歌う時に心がけている事とは?
「カバーする事は本当に難しいですね。名曲だからこそ、オリジナルを超える事は出来ないし、オリジナルより良い物を作りたいとかでは無くて。ただその曲の良さを大切にしたい想いで歌っています。その曲のメッセージやストーリーを調べて、誰の為に歌っているかを考えて、自然に歌いたいなって。上手く歌うというより、真剣に、正直に歌いたいという気持ちですね」